東鷹栖越中盆踊り

訪問日:2013年7月13日(土)

場所:旭川市東鷹栖公民館前広場(第23回東鷹栖市民ふれあいまつり)

旭川市の北東部に位置する東鷹栖は,稲作を中心とする農業地帯である。旧華族が経営した大農場である松平農場の事務所があったあたりが地域の中心であり,旭川市の東鷹栖支所が置かれている。

松平農場の小作人は,富山県出身者が9割近くを占めており,この越中盆踊りは,富山県下新川郡宇奈月町愛本の盆踊りが源流とされる。入植当時は唯一の娯楽として,神社の祭りやお盆の時期に踊っていたという。昭和12年に興国神社境内において行われた農場解放記念式典では,松平伯爵夫妻の前で,富山出身の若者約150人が越中踊りを披露したというが,その頃から盆踊りは北海よされ節が主流となり,揃いの装束が必要で習得の難しい越中踊りは一時途絶えることとなった。昭和36年の東鷹栖開基70年式典の際に復活し,昭和46年3月の旭川市・東鷹栖町合併記念式典を機に,東鷹栖越中盆踊り保存会が結成されている。

しかし,保存会も高齢化が進んでいることから,当年(平成25年)から,小学校での出前授業を行っており,この日のイベントでは小学生による東鷹栖越中盆踊りが披露された。

東鷹栖地区市民ふれあいまつりは東鷹栖支所に隣接する広場で行われる。

会場に到着した13時過ぎには玉入れが行われていた。

 

続いて,13時40分からは近文第一小学校の全校児童によるステージ発表に移った。まずは1,2年生87名による踊り「みてみて☆こっちっち」。3〜5年生は123名で歌と手話「世界に一つだけの花」。

そして,6年生48名により,越中盆踊りが披露された。まずは代表による挨拶。越中盆踊りは1学期に総合学習で取り組んだものだという。「手や足の細かい動きなどもぜひご覧ください」とのこと。

はじめに「はねそ」の踊り。音頭と囃子はテープ演奏だった。衣装は派手な色彩で,装飾が施された編み笠が特徴である。本来は紅白布をたすきがけにして背中から膝の裏程まで長く垂らし,手甲,前掛け,白布,たすきの先に鈴が付くという。

越中盆踊りはさらに続くのだが,司会者が,「それでは越中盆踊りを終わりまして,今度は別のメンバーによる花笠音頭をお楽しみください」と紹介してしまった。

 

東鷹栖越中盆踊りは「はねそ」「はねそくずし」「花笠」の3つの踊りがある。したがって,「花笠」というのは花笠音頭ではなく,越中盆踊りの演目の一つである。踊りが終わった後,司会者から「勉強不足でした」とお詫びがあった。

踊りは違うが,唄は同じものを使っているようである。10番までの数え歌になった歌詞が特徴的である。

東鷹栖越中盆踊り「はねそ」動画(MP4,7.0MB)

東鷹栖越中盆踊り「花笠」動画(MP4,7.0MB)

東鷹栖越中盆踊り「はねそくずし」動画(MP4,8.2MB)

なお,東鷹栖越中盆踊りの唄を現代風歌謡曲に編曲した「新富山はねそ節」(作詞・歌唱:枝園清一,作曲・編曲:松原曽平)が,当年(平成25年)12月に制作されており,旭川の歌手である枝園氏は,「阿波踊りのように全国的な踊りにしたい」と意気込んでいる(H26.1.24北海道新聞)。

 

その後,東鷹栖農民連盟による餅つきと紅白餅の配布が行われた。

芸能発表では地元の民謡である「石狩川流れ節」の踊りや,観光旭川音頭の演奏も披露された。

15時過ぎで会場を後にし,バスで近くにあるJAたいせつの「田んぼアート」を見に行った。田んぼアートフェスティバルはまだ1か月以上先であるが,既に良い感じに色づいていた。