車内は高校生で座席が埋まっていた。
今日は飢餓旅行である。二風谷で昼御飯にするつもりだったのが当てがはずれて,やむを得ず民芸品店で購入した煎餅で空腹を紛らわす。
聞き慣れないアイヌ語地名のバス停が続く。
国道からそれて荷負市街通過。沙流川支流・貫気別川の分岐点にある集落である。この奥にあるかつて上貫気別といわれた旭地区はアイヌが強制移住させられたところで,毎年8月にはアイヌモシリ一万年祭が開催されている。
振内を過ぎると,沙流川が寄り添い,山が迫ってくる。山田線を宮古から盛岡に向かって走った時の感覚に似ている。フレナイは赤い川の意味だといい,たしかに川の水は赤茶けて濁っている。
やや谷間が開けた岩知志を通過。イワチシは山の中のくぼみの意味だといわれ,なるほどと思っていたら,別の地名辞典を見るとイワは神聖な岩山,チシは立岩のこととあった。これもなるほどと思わせる解釈である。
廃校や廃屋が点在する上岩知志を過ぎると,いよいよ山あいに入り,紅葉も色づきを増してきた。日勝竜門,岩知志ダム,轟淵と沙流川の峡谷が続く。
名勝日勝竜門。
岩知志ダム。昭和33年竣工の発電用ダムである。
終点・日高ターミナル到着。