北海観光節小さな旅行記ラベンダーイーストと裏富良野

ラベンダーイースト

さて,次はいよいよ昨日オープンしたばかりのラベンダーイーストを訪ねる。

ファーム富田の中で,ラベンダーイーストについてどういう案内がされているのかと関心を持って見たが,ひっそりとリーフレットが置かれていただけで,表だった案内はなかった。

いちおう出口に看板が出ていた。3.8kmだから,歩いて40分弱だ。

道路は碁盤の目に走っているのでどう行ってもかまわないのだが,看板はラベンダー畑駅に面する道路より1本北の北16号道路に誘導していた。国道には信号機があるのでわかりやすい。

北16号道路を東へまっすぐ3km。アプローチは意外とわかりやすい。

東2線 東3線 東4線

富良野盆地は北海道殖民地区画といって,300間(546m)ごとに碁盤目状に道路が敷かれている。この道路に面して農家が100間(182m)ごとに建ち並んでいるというのが北海道の代表的な農村景観である。歩いていると同じような景色の繰り返しになるが,よく見ると道路ごとに微妙な表情の違いがあっておもしろい。

東4線が町界になっており,ここから上富良野町「東中(ひがしなか)」に入る。東中は東中富良野の略称が地名になったものである。東中富良野なのになぜ上富良野町なのかと不思議に思われるかもしれないが,もともと富良野は一つで,開拓が進んで人口が増えたため上富良野,中富良野,下富良野に3村に分かれたのである。したがって東中は富良野の中の東中富良野であって,上富良野に属するものでも中富良野に属するものでもなかった。それが上富良野から中富良野が分村するときに,上富良野は東中をとり,中富良野は西中をとっただけのことである。そのため両町の境界線は東中と西中の間でカギ形になっている

ラベンダーイースト

ラベンダーイースト到着。これがラベンダーイーストのほぼ全景である。敷地は北16号道路と東6号道路に面している。国内最大規模の14haのラベンダー畑だというが,先述の300間ごとの号線に囲まれた正方形部分の面積は約30haで,それが通常農家6軒分の農地なので,標準的な農家3軒分の広さを持っているということになる。

 

ラベンダーイーストは,ファーム富田が香水やポプリの生産用の畑として5年前からラベンダーを植栽してきたものだが,今年ファーム富田がラベンダー栽培50周年を迎えるにあたり一般公開することにしたとのことである。

 

展望デッキからは,晴れていれば十勝岳連峰や夕張山地が絶景である。

駐車場は数えてみたところ一般車57台,身障者用1台,タクシー5台,バス11台分が整備されていた。今後さらに整備されるかもしれないが,現段階では駐車場の収容台数の関係であまり積極的な宣伝はできないのだろう。

ラベンダーイーストから眺めるファーム富田。1月後くらいにはきれいに色づいて見えるはずだ。

 

お土産屋は「ラワーレの舎」という。

軽食も可能で,ラベンダーホワイトチョコレートソフトクリームはラベンダーイースト限定だ。

東中は富良野盆地におけるラベンダー栽培発祥の地であり,そういう意味でもこの場所にラベンダー園ができることは意義深いことである。

しかし,ここにラベンダー畑ができるということは,実は非常にショッキングなことでもある。ラベンダーは本来,急斜面やがれ地など,ほかの作物ができないどうにもならない土地で栽培されていた作物である。もともとこのあたりは水田地帯で,それも富良野盆地の中でも最も土地がよいと言われるところだった。そういう場所でラベンダーが作られるというのは農家がそれだけ深刻な状況にあるということを物語っている。近年の富良野では山間部の農家だけではなく,土地のよいところの農家までもがものすごい勢いで離農しているのである。

ともあれ,黙っておけば寂れるだけの農村地帯にファーム富田がこうしてきれいな畑を作ってくれたことは大変ありがたいことで,町としても最大限の応援をしてほしいところだ。

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