今日の旅の山場はこれからである。列車の旅も富良野線から根室本線に入るとずっと旅情が高まる。
下金山駅到着。
この駅は木造の危険品庫や貨物ホームがそのまま残り,時間が止まったような雰囲気を醸し出している。
下金山といえば,空知川にかかるこの吊り橋。揺れるので怖いが,住民の生活道路として現役である。
橋を渡った先はこんな感じ。今日はここから東山に向かう。
東山に行くのにずいぶんひねくれたルートをとっているように思われるかもしれないが,実はこのルートこそが本来の東山街道だといってよい。下金山は旧東山村の玄関口として発展した集落で,下金山駅から東山へは森林鉄道も出ていたからである。
白い砂利道をしばらく進む。
車道に出た。いかにも開拓地らしい雰囲気。
山が水田に映ってきれいだが,山が映っている部分は,稲が水に浸かってしまっている。山間での水田づくりは厳しいものだ。
Y字の分岐に出た。この分岐を左から右へ行くのがかつての国道237号線である。
砂利道の旧国道を行く。
道ばたの森は天然林の様相を呈しており,念のためカバンから熊鈴を取り出した。
途中で国道38号の旧道と合流し,西達布川を渡る橋に差し掛かった。この橋が昭和9年竣工と大変な骨董品である。
JRの根室本線と国道38号は,富良野市の山部から南富良野町の幾寅までまったく異なるルートを通っている。こういう例は道内でほかにない。開削は鉄道が早く,ルートとしても空知川に沿っており自然である。
一方,国道はわざわざ峠を一つ余計に越えて北を迂回しているが,このルート選定に影響を与えたのが東山住民の運動だった。その道路工事が完成を見たのが昭和9年だというから,この橋は国道が開通した当初からのものである。
欄干の向こうに見えるのは森林鉄道の橋脚。
水準点もあった。