北海観光節小さな旅行記雲海・ガーデンショー・ドライブインの旅

雲海テラス

10分ほど並んで5時12分,「アルファキャビン」のゴンドラに乗車。3人の家族連れと相席となった。

ゴンドラの速度は時速12.6kmとけっこう速い。窓が少し開いていたので,鳥の声がよく聞こえたが,「テープの音じゃないかしら」と,昨日の私と同じことを思っていた。

女の子は「どこもかしこもフキがある」と感動しており,いまどき珍しい子供だと思った。

途中,ゲレンデには鹿も見えた。

徐々に標高を上げていく。

 

14分ほどで標高1088メートルの雲海テラスに到着。雲はやはり晴れていた。ゴンドラの乗車券は「思い出ハガキ」になっており,ポストに差し出す人も多くいた。

雲海は見えずとも,新緑は美しくすがすがしい眺めである。ここからの眺めは胆振,石狩,十勝,日高の4か国を一望にしていることにもなる。

 

てんぼうカフェ。

少し南に歩いたところに第2デッキがあった。

第2デッキには「雲海ガーデン」がオープンしていた。

高山植物が本来の環境下で見られるという,なかなか面白い企画だ。ただ,トマムに自生している種ではないものも含まれているため,結実前に撤去するという対策をとっているとのこと。

さらに南へ歩いて,尾根線上にある第3デッキへ。

ここから日高方面の山並みに浮かぶ雲海を遠望することができた。

2代目雲海仙人と称する方が第3デッキにおり,あとは消えていく一方ですと,正直に解説をしていた。雲海は日の出のときがいちばんきれいだとのこと。そうであれば,3時台に日が昇るいま時期より,若干雲海の出る確率が下がったとしても,秋口のほうが本当にきれいな雲海を見ることができるのかもしれない。

トマムも中トマムから上トマムまで一望にすることができた。もともと牧場だったところにできたリゾートなので,ここからの眺めはリゾートができる前とできた後で大きくは変わっていないと聞いたことがあるが,たしかにそうだろうと思った。

 

トマム山の登山口も開通していた。標高差150メートルほどなので,ひとっ走り登ってこようかと思ったが,今日はこの後かなり歩く可能性があるので,やめておいた。

今はなき幾寅営林署の看板があった。占冠は本村側が金山営林署,トマムが幾寅営林署の管轄だった。トマムのスキー場は面積の半分くらいが国有林内にあるが,当時,本来の木材生産で収益を上げられなくなっていた林野庁も,リゾート開発には積極的に関わっていた。トマム山の北側にもゲレンデを作り,幾寅とトマムをリフトでつなげるという壮大な構想もあったという。


雲海テラスであるが,訪れる客層は非常に幅広く,単なるスキー場だったら絶対来なさそうな人たちが多くいたのが印象的だった。冥途の土産に雲海を見に来たというような,かなり高齢の方も少なくなかった。

また,つい数年前まで,トマムは完全に道外を向いていたのが,道民にも親しまれる観光スポットになったのも大きく変わったことだ。雲海という,自然現象としては太古から出現していたものが,ちょっとしたきっかけでこれほどの魅力になるとは興味深いことである。

帰りは1人でゴンドラに乗せてもらえた。この日の雲海テラスの来客数は約600名だったという。ゴンドラの輸送力は1時間当たり900人なので,計算上は2700人分のキャパシティがあるが,訪れる側としては今日ぐらいの混み具合が良いところだと思う。

ゴンドラ乗り場の近くには駐車場があって,宿泊せずにマイカーで来た人はここに車を停めることになるが,そうした人は意外と少なかった。圧倒的に宿泊客のほうが多いようだった。

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