北海観光節小さな旅行記森と生きるin占冠

森と生きるin占冠 その3

次は本日3つ目のプログラム<森を聴く>に向けて,星野リゾートトマムに移動する。

営業されなくなって久しい,オスカー・スイートホテル&スパの駐車場に集合。この奥に雰囲気の良い森があるという。

草むらの中を歩いて行く。

途中には,星野リゾートトマムの有志の方々のご配慮により,コーヒーサーバーが用意されていた。

<森を聴く> 川村久恵さん(川村カ子トアイヌ記念館)

昨年の近自然セミナーにも参加していただいた旭川の川村久恵さん。鳥の声が聞こえる爽やかな森の中で音楽会が始まった。

まずは,ごあいさつの意味合いもある,ヤイサマと呼ばれる即興の歌を1つ披露していただいた。

続いてムックリ。旭川ではムックルという。マイクやスピーカーはなかったが,森の木々に音が反射して,これは素晴らしいものだった。

日本語は言葉を省略して,聞き手に想像力を求める傾向があるが,アイヌ語は事細かく状況を語ることに特徴があるという。ただ心情を語ることはあまりなく,心の内面については踊りや歌,楽器を奏でることで伝えたという。

「ムックルをやったことはありますか?」という問いかけに,挙手した人は多数。いまカバンの中に入っていますという強者までいた。

うまくできないという参加者には指導もしてくれた。

今度は,ウコウクという輪唱の歌を,3つのグルーブに分かれて参加者全員で歌った。ほかのグループにつられないように歌うだけで精一杯だったが,本来は即興で歌が変わっていくものだという。

17時を過ぎ,森の中はだいぶん暗くなってきた。最後はユーカラ(神謡とも訳されるが,旭川では英雄叙事詩の意味合いだという)で締めくくられた。

マイクなし,照明なしの森の中で過ごした,このひとときはとても新鮮な体験だった。伝統音楽,伝統文化などというが,マイクや照明を使ったものは全部大嘘である。マイクや照明を使わないという簡単なことが,なぜいまの世の中ではこんなに貴重なことになってしまったのだろうか。

17時20分,バスに乗り,本日の宿であるザ・タワーへ向かった。

ツアー用のカウンターで,リゾートエリアの説明を受ける。

明日の雲海発生確率は50%。オプションではあるが,雲海テラスの見学も今回のセミナーのプログラムに入っており,明日早起きして見に行くつもりでいる参加者も多いようだった。

客室からの眺め。18時から交流会が行われるので,急いで部屋に荷物を置いて,会場へと向かった。

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