北海観光節小さな旅行記三箇線で行く鬼斗牛山と突哨山

三箇線で行く鬼斗牛山と突哨山 その1

2016年5月1日(日)

10連休になる人もいるという今年の黄金週間だが,いま時期は花,野菜の苗づくりをしている関係で,泊りがけの旅行が難しい。

せめて近場にでも散歩に行こうと思い,今年新たに発売された旭川観光用バス乗車券「あさくるパス」を利用して,一度歩いてみたいと思っていた,鬼斗牛山と突哨山を巡ってみることにした。

戦後の復興を象徴する建物として貴重な存在となっている旭川の駅前ビル。このビルの地下に道北バスの駅前営業所がある。

広々とした待合室。

早速「あさくるパス」の1日券を購入した。1200円で,旭川電気軌道と道北バスの旭川市内路線が乗り放題となる。このほか1800円の2日券もある。元を取るにはけっこう乗らなければならず,微妙な価格設定のように思う。

まずは10線22号バス停を目指す。運賃は770円と,旭川駅前からの市内各方面の中では,江丹別の870円に次いで高い。

旭川駅8:45発→10線22号9:29着 道北バス 三箇線

 

10線22号行きの道北バス12系統・17系統は「三箇線」と呼ばれている。59系統品川線ととともに,地図には地名として記載がない,バス路線独特の趣深い呼称である。以前田んぼアートを見に行くのに一度だけ乗ったことがある。

 

緑橋通から市役所前,ロータリーを経て,旭橋を渡る。このルートは1956年に廃止された旭川市街軌道(市内電車とも呼ばれた路面電車)の路線に沿っている。

ラパーク長崎屋は,ドン・キホーテになっていた。開店したのは2008年11月のことだという。

こうして改めて知るくらいドン・キホーテには縁がないのであるが,地元情報誌によると,旭川の買物公園にあるオクノにドン・キホーテが入るという話がかなりのところまで進んだのだそうだ。結局破談となったが,今度は,9月で撤退を決めた旭川西武の跡にドン・キホーテが入る可能性も噂されているという。

しかし,噂だとしても,あまりにも情けない話ではないか。旭川西武は売り上げが減少傾向にあるとはいっても,地方都市の百貨店としては今でも決して少なくない売り上げを誇っており,十分に百貨店としてやっていける水準にあるはずだ。それがいきなりドン・キホーテに変わってしまうようでは,旭川が培ってきた歴史や文化のすべてを否定するに等しい。西武のA館,B館,それにオクノが全部存続するのは無理にせよ,多少規模を縮小してでも,百貨店形態での店を旭川に残すべきだし,残るはずだと信じている。

末広の市街地に差し掛かろうとする。かつての東鷹栖町の役場所在地であるが,旭川の市街地と完全に連続している。

そのまま塩狩国道を進むのかと思ったら,バスは末広に入る前に左折した。ちょうど市内電車の終点・一線六号電停のあった場所になる。

ここから,春光と末広の境界,すなわち旭川市と東鷹栖町の旧市町界の道路をしばらく北進する。

  

道路沿いには東鷹栖町時代からあると思われる商店がいくつかあった。

バスは東鷹栖3線道路をしばらく直進する。現在旭川市役所東鷹栖支所のあるこの一画は,旧松江藩主が経営した松平農場の事務所があった場所である。

この3線道路であるが,農村地帯に入ったのにもかかわらず,妙に密に人家が連なっている。また水準点が国道ではなくこの道路沿いに置かれており,何か不思議な由縁があるのかもしれない。

突き当りに旭川刑務所があり,曲がったところのバス停で,1名降車した。刑務所に何かの用事がある人だろうか。

この先,乗客は私1名となり,バスは時速20〜30kmに速度を落として進行した。途中,時間調整の停車もあり,かなりダイヤに余裕を取っているようだ。

立派な農家住宅や,もとは店だったと思われる建物が点在する。

道道鷹栖東鷹栖比布線は左へ分かれていくが,バスは直進する。この角にある7線20号バス停がJAたいせつによる田んぼアートの会場(7線18号)の最寄りとなっている。

 

バスはいよいよ直線道路を外れて蛇行を始めた。車窓には雄大な畑が展開した。

終点10線22号到着。

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