東京旅行記

上野界隈

"♪上野は俺らの 心の駅だ〜"

井沢八郎の「ああ上野駅」である。「東北出身者にとって上野駅は人生の節目に存在する特別な存在。軽い気持ちではここに来ない」のだそうだ。(10月1日に放送された「終着駅殺人事件」で,伊東四郎がそう話していた。)

 
しかし,そのような重要な駅にしては,あまり貫禄がないように思える。


浅草口,しのばず口,公園口と歩き回って,ようやく「中央口」を見つけた。たしかに貫禄がある。

私にとっても上野駅は東京第一歩の地だった。高校の修学旅行で,青森から寝台特急ゆうづるに乗り,上野駅に着いた。ホームに降りた途端,9月だというのにむっとくる暑さが印象的だった。通路に居座るホームレスと思われる人たちにも衝撃を受けた。


修学旅行では上野駅についてまずバスで東京タワーを見物して,東京駅からグループごとの自主研修に入り,私たちのグループが最初に行ったのがアメ横だった。そのとき以来,私の中での東京のイメージはアメ横がすべてである。東京はどこでもこのような薄汚く雑然としたところだと思っていた。しかし,今回東京を歩いてみて,アメ横というのは東京の中でも非常に特殊な地帯であることがわかった。


不忍池。池の周りが全部ビルなのは,さすが東京。


西郷隆盛の像は上野公園にあった。

 
左は彰義隊墓碑,右は清水観音堂(重文)。上野公園は文化財のるつぼのようだ。

 
国立西洋美術館や,科学博物館にも行ってみたかったが,時間にも限りがあるので,東京国立博物館を見学した。内容は1日あっても見きれないほどで,国宝級の展示物が勢ぞろいしていた。建物も壮大だ。この本館は昭和12年に建てられたそうだから,大日本帝国が世界に威厳を示そうとしたのだろう。ただ,展示物が貴重だというのはわかるが,あまり感動するものではなかった。展示物が生気を失っている感じがした。

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