礼文路

知床

知床(しれとこ)は礼文の最南端にあって,斜里の知床ほどスケールは大きくないが,やはり地の果てを感じるところである。


香深から知床への道路は観光コースから外れるためか,素朴な漁村の風景が見られた。こんな道でも路線バスが通っている。途中にSさんいわく「礼文でいちばん立派なバス停」があったが,写真に撮り逃した。

それにしても玄関から突然人が出てきたりするので危なっかしい。道路で何人かの人にすれ違ったが,Sさんはみんな顔見知りらしい。Sさんは商売柄地域の人たちと顔を合わす機会が多いようだが,1年も過ごせばみんな顔見知りになってしまうそうだ。地域の人みんなが知り合いだと窮屈に感じることもあるだろうが,みんなに頼りにされて仕事ができるということにはうらやましさも感じた。私も一生に1度はこういうところで働いてみたいと思った。


道道基点。「主要道道」にしてはあまりにも貧弱な道。この周辺に民宿が数件ある。


知床で道は途切れた。

尺忍(しゃくにん)小学校

へき地4級,児童13,教員5

この学校も窮屈なところに建っている。それでも玄関前には遊具があって,ぬくもりを感じた。


グランドはずいぶん離れたところにあって,昆布干しのおばさんに教えてもらわなければわからなかった。あまり使われていないようだし,低学年の児童にとってはグランドへの移動だけでも大変だろう。

へき地学校について(その2)

□□□へき地学校とは□□□
「へき地学校」とは「交通条件及び自然的,経済的,文化的諸条件に恵まれない山間地,離島その他の地域に所在する公立の小学校及び中学校並びに共同調理場」をいい,これはへき地教育振興法により定められている。へき地には特級,準級,1級,2級,3級,4級,5級の7段階があり,いちばんへき地度が高いのは5級である。平成11年度の資料では全道1545校の小学校のうち半数以上の880校がへき地指定を受けている。しかし,4級5級ともなるとさすがに少なく,4級は全道で21校,5級は7校しかない(平成11年度。このうちいくつかは既に廃校しており,平成14年1月に級地指定の見直しが行われていることから,数字はかなり変わっているはず。)。礼文・利尻の学校は全校4級または5級の指定を受けている。
級地指定の要素としてはまず駅又は停留所,病院,診療所,高等学校,郵便局,市町村教育委員会,市の中心地,道庁所在地又はこれに準ずる都市の中心地,船着場までの距離があり,さらにそこに至るまでの交通機関の有無,交通困難性が加味され,これを点数化する。離島の場合陸地とは異なる基準点数表が用いられるので,陸地よりも高い点数が出る傾向がある。さらに「飲料水の供給」「不健康地」「遠距離児童生徒数」「学用品等の購入地」「図書館・博物館等」「食料品・日用品購入地」「教員数」などの要素が付加される。
ただ,いちおう6年ごとに見直しを行っているので時代には即しているはずだが,役人が現地を見ずに机上で決めていることだから,級がその地域の実情を適切にあらわしているのかは疑問である。
実際へき地に指定されると何が変わるかといえば,まず先生の給料である。へき地手当として最大25%が基本給に加算される。その他,教育を充実させるための補助金の額も変わってくるが,子供たちに直接関係するところでは,3級以上のへき地学校から高校を受験する場合,学区の枠が取り払われ,全道どこの高校でも自由に受験できる。(その3へつづく)

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