三陸初日の出の旅

岩手県序章

仙台20時00分発一ノ関行き普通列車に乗車。

南東北ホリデーパスは県境の石越までしかつかえないので石越−一ノ関間の乗車券を車掌から買う。

岩手県は東北でいちばん好きな県である。県境を越えたところで,ふっと息をつく。ふるさとに戻ってきたような気がした。

乗客の顔触れも変わる。隣どうしの県でこうまで違うものかと思うほど,岩手の人は顔立ちの整ったいい顔をしている。老若男女みな良い。肌がきれいなのは水が良いのかもしれないし,骨格には遺伝子が関係しているだろうが,精神的風土から来る影響が最も大きいように思う。一般に秋田県は美人が多いといわれるが,わたしはそのように感じたことはない。しかし少なくとも年をとればただのおばさんになってしまうことは事実で,宮脇俊三氏も何かの本で指摘していたと思う。ところが,岩手の場合は年を重ねるごとに味わいが出てきて,仙人のように格好良くなっていく。

いやぁ,やっぱり岩手はちがうなぁ。これまでのことはもうどうでもよくなった。ここからが今回の旅の本番である。

21時31分一ノ関駅到着。

さっそく「開運・義経北方伝説いわてホリデーバス」を購入。今回はこの切符を使いたいがために,あえて安くつく青春18きっぷを買わなかったのである。「このきっぷが心の支えとなれば幸いです。」とある。
支えにしますとも!

一ノ関22時10分発北上行き普通列車に乗車,22時34分水沢で下車。

平泉を通り過ぎて水沢まで来たのは時間つぶしの意味が大きいが,もう一つ気になったこともあった。


待合室のテレビではちょうどドリフの少年少女聖歌隊がナマムギナマゴメナマタマゴ,スモモモモモモモモノウチとやっていた。紅白はビデオにとってあるから,帰ってからゆっくり見よう。

で,水沢といえば白組司会者・阿部渉アナウンサーの出身地である。厳密に言えば,高校が水沢ということで,本当の生まれがどこかは知らない。阿部アナはこれまで総合テレビにはあまり出ておらず,「BS日本のうた」の司会を専門にやっているようなアナウンサーである。最近はやめたようだが,歌手と曲名をカンペなしで一気に紹介していく時の気合はすさまじかった。今回の紅白司会者への登用は異例の抜擢といえるだろう。
わたしは別に阿部アナのファンでも何でもないのだが,ただ,水沢駅に降りれば「阿部ちゃん頑張れ!」とか横断幕を掲げて,皆で応援しているのではないかとちょっと期待していた。ところが,写真を見てのとおり,待合室で紅白を見る人もまばらで,何事もなさげだった。


水沢22時48分発下り最終列車を待つ。今日はこの後も初詣列車として「夢絵巻開運義経号」が運転されるが,中尊寺で新年を迎えるならこの列車が良いだろう。なかなかの賑わいで,高校生や専門学校生が多くを占めているようだ。みな楽しそうな表情をしており,わたしもわくわくしてきた。

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