盛岡駅には「いわて銀河鉄道」の改札口が新しく作られていた。
あとはひたすら南下である。北海道の感覚からすると,盛岡まで来れば東京はもうすぐだ,というところであるが,実際にはまだまだ遠い。
盛岡市は人口50万くらいはいそうな町の構えであるが,実際は約29万人で,北海道の旭川よりも小さい。駅も札幌駅よりも大きく感じるが,このときはディーゼル車がいなかったので,シーンとしていた。
山田線ではめまぐるしく移り変わる景色に息をつく暇もなかったので,ここでやっと駅弁を広げる。
宮古駅の駅弁は魚元という料亭が作っている。弁当自体,うに,はらこ,蟹,いかなど海産物がギュっと詰め込まれており大変おいしいが,料亭が作っているということで,もう一つ付加価値のついたような高級感がある。
東北本線の旅は何度も乗り換えを強いられる。気分転換にはなるが,のんびりとはしていられない。一ノ関を過ぎるとまもなく宮城県に入るが,仙台に近づくにしたがって,岩手のような素朴さは失われる。
小牛田は大きな街があるわけでなく,鉄道側の都合で乗り換えを強いられる。旅人はともかく地元の人は気の毒だ。
17時14分頃,車掌室からピピピピピという警告音が聞こえてきた。陸前山王駅付近の踏み切りで車が立ち往生しているらしい。こりゃ参ったと思ったが,意外と早く10分後には運転を再開した。
17時26分,仙台到着。
北海道の感覚からすれば,仙台はほとんど東京であるが,仙台は青森〜東京のほぼ中間地点である。東京への道のりはまだ遠い。
仙台駅の賑わい | 去年も見た光のページェント。札幌のホワイトイルミネーションに比べるとあまりにも寂しい。雪があるかないかの違いだろう。 |
100万都市始発の列車らしく6両編成だったが,福島到着時にはがら空きになっていた。
福島にもまだ少し雪があった。盛岡以来のオールロングシート701系電車とは別れて,今度は国鉄型の電車だ。やっぱり落ち着く。
乗車券1890円+特急券2400円=4290円の出費。どこかで新幹線に乗らなければ新宿発のムーンライト信州に間に合わないわけだが,たぶんこの区間で乗るのがいちばん安くつくと思う。わずか33分の乗車だがここで117.2kmもかせげる。やはり新幹線は速い。
車内販売は男だった。北海道でも昔は男の車内販売があったそうだが,ちょっと違和感がある。
いよいよ上野行きだ。花のお江戸はもうすぐ近い。宇都宮からは疲れたサラリーマンがどっと乗ってくるというイメージがあるが,今日は日曜日のため空いている。いかにも速そうな電車だが,寒かった。上野到着時にはがら空きになったいた。
東京だ。しかし1週間前にもこのあたりをうろうろしていたので変な感覚だ。
車内には何かささいなトラブルがあって気違いになってしまった男が乗っていた。自然に囲まれた田舎では,そのようなささいなことで気違いになることはないと思う。悲しきかな東京。東京の人たちは変な人に慣れているので,ちょっとやそっとのことでは驚かないはずだが,みんな怪訝そうに見ていた。
新宿23:20着。明日に備えて食料を調達したいところだが,新宿駅には店がまったくなかった。上野駅で買っておけばよかった。そういえば以前も同じ失敗をしたような気がする。