北海観光節旅行記釧路発鹿児島ゆき 列島縦断の旅

奈良井宿

今晩は鳥取に宿を取ってある。多少時間にゆとりがあるので,まず奈良井駅で降りてみることにした。

道の駅 奈良井木曽の大橋


洗面所で髭剃りなどしたかったので,まず道の駅に行ってみることに。ところがこの道の駅は本当に何もなかった。施設は小さな公衆トイレだけで,いちおう暖房が入っていて24時間使えそうだが,道の駅のトイレというイメージではない。それにトイレと駐車場は川を隔てていて,写真にある太鼓橋を渡らなければいけない。この橋が非常に渡りづらく,特に冬は危険とさえいえる。駐車場にしても15台分しかないし,これだけ何もない道の駅というのは全国でも珍しいのではないだろうか。


それにしても冷え込んでいる。木曽の大橋の欄干には霜がびっしり着いていた。雪がきしみ,鼻が凍る感覚があるので,マイナス10℃を下回っていると思われる。北海道と遜色ない寒さだが,このくらい下がったほうがかえって身が引き締まって心地よい。

奈良井宿

さて,哀れな道の駅は見なかったことにして,あらためて駅に戻って散策開始である。

奈良井は中山道の宿場町。江戸時代の面影を色濃く残しており,昭和53年に国の重要伝統的建造物群保存地区の選定を受け,1989年には建設大臣の「手づくり町並賞」を受賞している。

 

下に居ろ下に居ろと あの行列はさ
お江戸でさ かんちろりん
お江戸でさ たらいでさ
大久保彦左衛門がな 登城登城

駅を出るとすぐ,このような町並みの中に入る。まさにタイムスリップしたような感覚であり,完璧な形で古い町並みが保存されている。

雑貨店 そば屋


旧来の様式をよく残している建物の一つ。

2階がせり出した「出し梁造り」が最大の特徴。窓には格子がはめられている。1階の小屋根を押さえている桟木は「猿頭(さるがしら)」と呼ばれる。
入口には「大戸」がはめられ,その中に日常生活に使用する「くぐり戸」が開けられている。その隣には板を横にしてはめ込んだ「しとみ戸」が見えている。
2階の建物両端に設置されているそで壁は「うだつ」と呼ばれ,火災時に延焼を防ぐもの。"うだつが上がらない"の"うだつ"はこれをさしている。


宿場町はけっこう長く,1kmにわたって続いていた。


途中には水場が何か所かあった。いまでも生活用水として使われているらしい。


一番奥には鎮神社。境内には巨大な御神木がそびえ,にわか観光地にはまねできない風格を備えていた。

この手の古い街としては,江差や角館などにも行ったことがあるが,純粋に伝統的建築物の保存という意味では,奈良井は格違いだった。重要伝統的建造物群保存地区に指定されてからはともかく,それまでなぜこのような古い街並みが維持されてきたのか,不思議である。

お土産屋や資料館も朝早くてやっていなかったし,二百地蔵やマリア地蔵などまだ見るべきものがあるので,また来てみたいところだ。

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