北海観光節旅行記釧路発鹿児島ゆき 列島縦断の旅

備中高梁 その1

12時46分,備中高梁到着。

高梁は以前からずっと来てみたいと思っていたところだった。

さくら,兄ちゃんは罰が当たっちまったよ
三日坊主とお笑い下さいまし

わたしは映画「男はつらいよ」が好きである。その中でも特に第32作の「口笛を吹く寅次郎(昭和58年)」が好きだ。そのロケ地が高梁なのである。


札幌そごうで開催された寅さん展で購入したポスター。壁に張って毎日拝んでいる。


まず駅の背後にある山に登ってみる。高梁市は高梁川中流の小盆地に開けた,山紫水明の城下町である。

ここから北へ2kmあまりにわたって,十いくつの寺社が続く。


最初に見つけた神社。とりあえずお参りしておく。

威徳寺


曹洞宗。備中松山藩主の一人,池田氏の墓がある。

松連寺

 
真言宗。寅さんの映画のポスターの背景に使われているお寺だ。お寺にしてはずいぶん立派な石垣であるが,これは武家諸法度で城の築造ができなかった時期に,寺に見せかけて松山城の砦として築いたもの。

薬師院

 

「口笛を吹く寅次郎」のロケ地。映画ではさくら(寅さんの妹)の夫・博の実家の菩提寺という設定。
寅さんは博の亡父の三回忌が近いことに気づき,高梁を訪ねる。墓参りを終えて帰ろうとしたところ,酒に酔った和尚(松村達雄)を抱えて石段を上がってくる娘の朋子(竹下景子)に出会う。
翌日,和尚が二日酔いになり法事に出かけられず,寅さんが代わりに袈裟を着てお坊さんを務める。朋子たちの心配をよそに読経後の説教が寅さんならではの名調子で大好評をよび,そのまま寺に納所坊主としていついてしまう。

映画のロケ地とはいえ,観光用のお寺ではないので,部外者であるわたしは恐る恐る境内に入ったが,若いお坊さん?が「こんにちわ〜」と声をかけてくれた。やっぱりお寺は寛大だ。


このように山すその細道にお墓やお寺が続く。

道源寺

こうして,ひとつひとつお寺を巡ると,やけに疲れることに気づいた。それぞれのお寺に相当な長さの石段があるので,一つのお寺にお参りするたびに,長い石段を上り下りしなければならないのである。高梁では1時間40分の観光時間を取ってあったが,このペースだと先がきつそうだ。

定林寺

このお寺は分かりずらいところにあった。たいぶん迷ったが来て良かったと思う。本堂の前に奥さんがおり,少し話をした。釧路から来ましたというと,驚かれ,どうして高梁を知ったのかという。映画で見ましたと答えた。
「どうぞお参りしていってください」
とのことなので,とりあえず靴を脱いで本堂に上がり,入口の賽銭箱にお金を入れて手を合わせ,退散しようとする。しかし,
「中に入ってお参りしてください。」「仏さんにお参りしたことない?」
と言われた。わたしはいちおう仏教幼稚園の出であり,わたしの家はそのお寺の檀家なのだが,それでも本堂の仏壇の前でお参りするのは畏れ多いことである。ましてよそ者が宗派の違うお寺の本堂にずかずか上がりこんでよいものかと思ったが,立派な座布団の上に正座して合掌した。今回神社の参拝方法は少し勉強してきたが,お寺のお参りの仕方を勉強してこなかったのは失敗だった。

帰り際また少し話をし,これから九州へ向かって初詣でをすると言った。すると
「それじゃあ,お父さん,お母さんはあなたなしでお正月を迎えるのね」
と諭され,心の中で「ああ申し訳ない・・・」と思ったが,「2日には実家に帰りますから」と言い分けをして,お寺を去った。

どうやら高梁は良さそうなところだ。わたしは決断した。今日は高梁をとことん歩こう。新幹線に乗れば後のことはどうにでもなる。

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