別に用事はないが,今度いつ来れるのかわからないのでいちおう終点まで乗っておく。金木−津軽中里間は初めて乗る区間である。
津軽中里駅はスーパーを併設した立派な駅だった。
りんごの ふるさとは 北国の果て
うらうらと 山肌に 抱かれて 夢を見た
あの頃の想い出 あゝ今いずこに
りんごの ふるさとは 北国の果て
作詞・作曲:米山正夫 歌:美空ひばり「津軽のふるさと」より
津軽鉄道は昔ながらの駅舎が残っている駅も多く,踏み切りも電子音ではなくカンカンカンカンと本物の鐘の音だったりする。いつか一駅一駅じっくりと巡ってみたい。
帰りもまた3枚の乗車券をつなぎ合わせて五所川原へ戻った。
五所川原で乗り換え。さて,いよいよ弘前である。
さくら見よとて 名をつけて まづ朝ざくら 夕ざくら よい夜ざくらや
小唄「さくら見よとて」より
今回の旅行では桜の名所を何か所も巡るが,夜桜は弘前が最後になりそうである。
弘前公園
日本のさくらの名所100選・弘前公園。弘前の桜はいちおう1990年,中学の修学旅行の時に見たことがある。それで今回は一目見れれば十分と思って,弘前では1時間と8分の短い滞在である。弘前駅から弘前公園入口までは徒歩20分ほど。
これで「おまえ,弘前の夜桜を見たことはあるか」と聞かれたら,「はい,あります。」と自信を持って答えられる。
春はうれしや 二人揃って 花見の酒 庭の桜に おぼろ月
端唄「春はうれしや」より
夜桜はいいもんだ。
おじさんが「おえー,ぴったしかんかんでねえかー」と感嘆の声をあげていた。「ぴったしかんかん」とはまた懐かしい表現だと思いつつ,妙に耳に残った。
おぼえているかい 別れたあの夜 泣き泣き走った 小雨のホーム 上りの夜汽車の にじんだ汽笛 せつなく揺するよ 俺らのナ 俺らの胸を
作詞:矢野亮 作曲:林伊佐緒 歌:三橋美智也「リンゴ村から」より
三橋美智也の「リンゴ村から」がヒットしたのは昭和31年。そのときからもう青森と大阪を結ぶこの「日本海」という列車はあった。昭和25年の誕生から半世紀あまり,この列車は東北の人たちの夢を運び続けている。
今日中に少しでも南に進もうということで,秋田へ向かう。寝台特急の座席利用であるが,立席ではなくきちんとした指定席として利用できる。しかし旧来の4人ボックスよりは余裕があるものの,特急なのに直角の座席というのはあずましくない。それに秋田に近づく頃には毛布・シーツの準備をするために,いったん席を空けなければならなかった。青森→秋田の特急は夕方以降の3本がこうした寝台車の座席利用となるわけだが,旅の人にはもの珍しく感じられるが,地元の人はかわいそうだ。
本日の御宿は秋田シティホテル。4200円の安宿で,電話はダイヤル式,掛け布団は毛布とシーツだけだった。それでありながら「シティホテル」を名乗るだけあってどことなく高級感あり,まあまあ良い宿だったと思う。
さくらと私 その2 文部省唱歌「さくらさくら」さくら さくら 野山も里も 見渡す限り 小中高をとおして,小学4年のときの担任の先生が私にとってはいちばん良かったと思っている。歌もうまいし,絵もうまいし,スポーツもできるし,知識も豊富だし,いまだにその先生を超えるような人には会ったことがない。 |