北海観光節旅行記北東北観桜紀行

弘前夜桜

芦野公園17:31発→津軽中里17:42着 津軽鉄道 津軽中里行き普通列車

別に用事はないが,今度いつ来れるのかわからないのでいちおう終点まで乗っておく。金木−津軽中里間は初めて乗る区間である。


津軽中里駅はスーパーを併設した立派な駅だった。

津軽中里17:47発→津軽五所川原18:22着 津軽鉄道 津軽五所川原行き普通列車

りんごの ふるさとは 北国の果て
うらうらと 山肌に 抱かれて 夢を見た
あの頃の想い出 あゝ今いずこに
りんごの ふるさとは 北国の果て

作詞・作曲:米山正夫 歌:美空ひばり「津軽のふるさと」より

津軽鉄道は昔ながらの駅舎が残っている駅も多く,踏み切りも電子音ではなくカンカンカンカンと本物の鐘の音だったりする。いつか一駅一駅じっくりと巡ってみたい。

帰りもまた3枚の乗車券をつなぎ合わせて五所川原へ戻った。

五所川原18:22発→弘前19:14着 五能線・奥羽本線 弘前行き普通列車


五所川原で乗り換え。さて,いよいよ弘前である。

さくら見よとて 名をつけて まづ朝ざくら 夕ざくら よい夜ざくらや
小唄「さくら見よとて」より

今回の旅行では桜の名所を何か所も巡るが,夜桜は弘前が最後になりそうである。

弘前公園

日本のさくらの名所100選・弘前公園。弘前の桜はいちおう1990年,中学の修学旅行の時に見たことがある。それで今回は一目見れれば十分と思って,弘前では1時間と8分の短い滞在である。弘前駅から弘前公園入口までは徒歩20分ほど。

これで「おまえ,弘前の夜桜を見たことはあるか」と聞かれたら,「はい,あります。」と自信を持って答えられる。

春はうれしや 二人揃って 花見の酒 庭の桜に おぼろ月
端唄「春はうれしや」より

夜桜はいいもんだ。

おじさんが「おえー,ぴったしかんかんでねえかー」と感嘆の声をあげていた。「ぴったしかんかん」とはまた懐かしい表現だと思いつつ,妙に耳に残った。

弘前20:22発→秋田22:31着 特急日本海4号

おぼえているかい 別れたあの夜 泣き泣き走った 小雨のホーム 上りの夜汽車の にじんだ汽笛 せつなく揺するよ 俺らのナ 俺らの胸を
作詞:矢野亮 作曲:林伊佐緒 歌:三橋美智也「リンゴ村から」より

三橋美智也の「リンゴ村から」がヒットしたのは昭和31年。そのときからもう青森と大阪を結ぶこの「日本海」という列車はあった。昭和25年の誕生から半世紀あまり,この列車は東北の人たちの夢を運び続けている。

今日中に少しでも南に進もうということで,秋田へ向かう。寝台特急の座席利用であるが,立席ではなくきちんとした指定席として利用できる。しかし旧来の4人ボックスよりは余裕があるものの,特急なのに直角の座席というのはあずましくない。それに秋田に近づく頃には毛布・シーツの準備をするために,いったん席を空けなければならなかった。青森→秋田の特急は夕方以降の3本がこうした寝台車の座席利用となるわけだが,旅の人にはもの珍しく感じられるが,地元の人はかわいそうだ。

 
本日の御宿は秋田シティホテル。4200円の安宿で,電話はダイヤル式,掛け布団は毛布とシーツだけだった。それでありながら「シティホテル」を名乗るだけあってどことなく高級感あり,まあまあ良い宿だったと思う。

さくらと私 その2   文部省唱歌「さくらさくら」

さくら さくら 野山も里も 見渡す限り
霞か雲か 朝日ににほふ
さくら さくら 花盛り

小中高をとおして,小学4年のときの担任の先生が私にとってはいちばん良かったと思っている。歌もうまいし,絵もうまいし,スポーツもできるし,知識も豊富だし,いまだにその先生を超えるような人には会ったことがない。
その先生は自由主義で何でもやらせてくれた半面,厳しい面もあった。いちばん嫌だったのは歌のテストである。
当時,私のやることを何でも悪く言う友人が1名おり,人前で何か実技をするというのが非常に嫌だった。歌のテストは曲を自由に選べて,歌でなくても口笛でもよいというものだった。そうやって自由にやらされるのは余計困る。私自身音楽は好きな科目だったので,自信がなくもなかったのだが,選んだのは最も安直で無難と思われる「さくらさくら」だった。先生の弾くピアノの前に行って低い声でぼそぼそと歌った。例の友人はそれをしっかりと聞いており,その後何年もの間,お前は歌が下手だと言われ続けた。
小学校から大学院修了までの15年間で,人前で1人で歌ったのはこのときと小3のとき罰ゲームで「春の小川」を歌った2回だけである。
2年前の4月,就職して初日にさっそく歓迎会があった。2次会ではカラオケに連れて行かれた。カラオケもそのときが初めてで面食らった。何か歌わなければならなくなったので,三波春夫の「チャンチキおけさ」を歌った。それが妙にうけた。それ以来,カラオケに行くと調子に乗って古い歌ばかり歌っている。昨日4月26日の夜には釧路で「イヲマンテの夜大歌謡祭」なる催しが開かれ,それに出ないかとの声もかかったのだが,旅行の準備に追われて出られなかったのが残念である。

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