北海観光節旅行記映画・京極・流氷 北海道全駅下車の旅

福耳から小樽へ

ホテルシューパロ

今日2本目の映画の会場はホテルシューパロ。


夕張にこんな立派なホテルがあるとは知らなかった。夕張でホテルといえばマウントレースイしかないと思っていたので,慌ててしまった。しかし映画祭以外の日はどんな人が泊まるのだろうか。


映画は無料で見られるものもあるが,有料のものは1本1600円。2本以上見るなら3000円の1日券がお得。

今度の映画は「福耳」。監督の顔を写真で見て,いかにも面白くなさそうな映画だと思ったが,私が面白くないと感じるということはつまり他の人にとっては面白いものであり,案の定盛況だった。開演時間までには立ち見が出るほどになった。
ほぼ同じ時間帯で市民会館では「恋する幼虫」という映画をやっていて,そっちのほうが面白そうだと思ったが,いかにもオタクっぽくて行くのが怖かったので無難な線でこっちにしたのだ。


上演前に監督の瀧川治水さんと女優の司葉子さんのトークがあった。ほんとならじっくりと聞き入りたいところだが,私は帰りの汽車の時間が気になってしょうがない。このトークが15分以上続くと,札幌への最終便に間に合わないのだ。ところが話がまとまりそうなところでまた発散したりしてなかなか終わらない。あんたの顔は一目見れば十分だ。くだらない話はもうやめれ。いいかげんにしれ! 手に汗握る思いで話の収束を祈っていたが,結局ぎりぎり15分で決着がつき,17時16分に上演開始となった。

意外なことにこの映画は良かった。全編を通して笑いっぱなしだった。そして最後にはまた泣いた。主演の宮藤官九郎はいかにも現代風の若者でやなやつだと思ったら,実は非常に演技のうまい役者だった。田中邦衛,谷啓,坂上二郎,宝田明らベテラン俳優の演技も光る。監督が挨拶でじいちゃんばあちゃんと孫など世代の違う人たちが一緒に見てほしいと言っていたが,実際会場にも幅広い年齢層の観客がいた。ぞれぞれの年代でそれぞれの感想を持つことのできる映画だと思う。今年秋から全国の映画館で上映されるとのことだ。
福耳ホームページ


すっかり日が落ちたキネマ街道。


市民会館の前庭は炊き出しで賑わっているようだった。映画祭中日の今日は盛り上がりもピークに達し,このあとも終夜映画が上演されるようだ。また,監督や俳優などゲストと一般の客が交流する場も設けられるらしい。

今日の課題であった,どういう人が映画祭を訪れるのかを見ておくということだが,まず札幌からマイカーで訪れる人は少なそうである。道路も渋滞していないし,駐車場も空きがあった。家族連れも少なかった。つまり,じゃらん見てドライブするような俗な人たちは映画祭には来ないわけだ。また,いかにもオタクなお兄さん方の姿も見かけなかった。本町から離れている清水沢健康会館は別として,インテリ,ブルジョア,エリート,ナイスミディ,,,そのような言葉が似合うような人たちが多くを占めていたように思う。みな全国,世界各地から相当の思い入れをもって夕張に来ているようだった。そういう人たちを引きつける力のある夕張はやっぱりすごい。

また,このイベントの裏方の人たちは本当に大変だと思う。どういう人たちがどれだけの報酬をもらってやっているのか知らないが,事前の関係者との調整や,点在する会場での当日の運営など並大抵の仕事ではないと思う。

今回,夕張で最大のスクリーンを持つといわれるゆうばり文化スポーツセンターに行けなかったのは心残りだった。この映画祭に熱心だった市長が引退し今後どうなるのか心配だが,またぜひ訪れたいものである。


夜のマウントレースイスキー場


無事19時25分発の普通列車に乗ることができた。

映画祭帰りの客でけっこう混んでいた。それでも立ちが出るほどではない。この列車は追分に直通するが,意外なことにほとんどの乗客は新夕張で降りた。たぶん新夕張から札幌行きの特急に乗るのだろうが,追分まで行っても同じ特急に乗ることができるし,特急料金もその分安くなるし,風呂にも入れるのである。


私は追分まで行って昨年3月にオープンした「追分町ぬくもりセンター」で入浴する。ここは温泉ではないのだが,浴場に入るなりムッときた汗くさい匂いにまいった。設備的にも町民の銭湯のような感覚で,周辺に多くある豪華な日帰り入浴施設に対向する意識はないようだ。それでもお年寄りだけではなくてスポーツ帰りの少年の利用が多かったのは好ましい。

追分21時1分発のスーパーとかち12号は次の南千歳で降り,小樽行き快速エアポート211号に乗車する。

 
エアポートは指定席uシートを確保。札幌からは自由席になるがそのまま座っていれば小樽まで確実に着席できる。

22時46分小樽着。

  

本日の御宿はバンクサイドホテル。旅の窓口でも空いているホテルが少なくて,投稿情報で比較的評判のいいホテルだったので予約した。ちょっと心配になるほどの低料金だったが,評判どおりフロントの対応はいいし,設備も古いながらよく手入れされていて不足はなかった。

 
バンクサイドとは変な名前だと思ったが,銀行の隣という意味だろう。部屋から旧日銀小樽支店が見えた。日銀小樽支店は昨年9月ついに廃止され,今春には金融資料館として一般公開される。

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