清水沢には約2時間滞在し,4本の列車を見送った。このあと16時台までしばらく列車がないので,散策に出かけてみよう。
夕張市の人口は1月末で14111人。しかしながら路線バスは10万都市並みに充実しており,頻繁にやってくる。
しかしわずか6分の乗車で運賃300円とは高い。
幸福の黄色いハンカチ広場
バス停から少し歩いて丘を登ると,映画のロケ地がある。ここに来るのは2度目だが,変らぬ姿だった。
壁,天井にはお願い事を書いた黄色い紙がびっしり張られている。茶の間のセットはよく出来ている。
武田鉄矢らがたどった行程が地図に示されている。しかしこの地図には誤りが何箇所かある。この記念館がいつできたのか知らないが,ずっと間違ったまま展示されているのは情けない。誰も指摘する人がいないのだろうか。
ゆうばりユーパロの湯
北炭化成工業所コークス炉の煙突が目印。高さ63.3mで昭和33年に建造されたもの。夕張に残る炭鉱遺産の一つである。
温泉シーズンには入浴をあきらめて帰る人がいるというほどの人気温泉だが,今日もかなり賑わっている。
しかし温泉はあまり良くなかった。たしかにお湯は茶色の濁りがあり,舐めると非常に塩辛く,銭湯と温泉の区別ができない人でもこれなら温泉とわかるであろう。しかし,何の臭いなんだろうか,浴室に入るなりムッとくる,あの公共温泉独特の異臭がするのである。わたしも札幌に住んでいた頃には温泉はこういう臭いがするものなのだと思っていたが,釧路にいて憩の家かや沼とかグリーンパークつるいなど本物の温泉に普段から入っていると,やはりそれは異臭だったということに気づく。念入りにシャワーを浴びて出てきた。
バス停の名前もバスの行き先も味がある。
清水沢駅前商店街。夕張では比較的活気の残っている商店街である。
さて,機は熟した。いよいよ列車に乗車し,今日が最後となるタブレット授受をしっかりと目に焼き付けよう。
本屋のガラス張りの部分に通票閉塞機が置かれている。その奥の小屋が信号テコ扱所。そこからワイヤーが線路の上空を垂直に横断している。
ホームへの連絡通路。まだまだ造りはしっかりしているが,1番線が廃止されたらこの通路は必要なくなるので,いずれ取り壊されるかもしれない。
模範的なタブレット授受が見られた。駅員さんがファンサービスとしてやってくれたものである。ここまではタブレット閉そく,ここからはスタフ閉そくであるから,正確にはタブレット&スタフ授受というべきであろうか。
列車に乗ると地元のお婆さんたちがホームのファンたちを興味深そうに見ていた。新聞でも報道されているので,いま清水沢が全国から注目されているということは知っており,「ほらみんな列車をほうを見ているでしょ」と,一般人から見れば奇妙な鉄道ファンの視線をおかしがっていた。
夕張ですぐに折り返し。スキー客が多かった。
当初,この列車で新夕張まで行って,釧路に戻る予定だった。しかし16時になってもまだかなり明るいので,もう一度清水沢で降りることにした。腕木式信号機の写真を撮るには薄暗くなるまで待たなければならないのだ。
かつてはどこの駅でも見られた光景。