北海観光節旅行記モリオカの太鼓

五能線

川部14:47発→秋田19:00着 快速リゾートしらかみ2号

五能線はいま日本で最も人気のあるローカル線といってかまわないと思う。雑誌やテレビでローカル線特集が組まれれば,お決まりのように五能線が取り上げられる。リゾートしらかみは運行を開始して7年目となるが,マンネリ化するどころか,昨年には第2編成が登場するという人気ぶりである。

したがって,わたしもよく「五能線なんか好きなんじゃないですか?」と言われることがあるが,まったくそんなことはないのである。リゾートしらかみには1997年の12月に乗ったきりで,そのときもあまりぱっとした印象がなかった。なぜ五能線がこんなに人気なのか,わたしにはどうも理解できぬのである。

 
りんご畑と岩木山。

陸奥森田から鰺ヶ沢の間では車内で津軽三味線の演奏が行われた。しかし,わたしは最後尾の1号車なのでスピーカーから流れてくる雑音まじりの音で我慢するしかない。津軽三味線というのも素直に好きになれぬものである。三味線音楽は好きなので,「三味線でも習ってみようか」というようなことをよく人と話す。ところがわたしがそう言うとみな「津軽三味線はいいですよね」と返してくる。わたしは三味線が好きなのであって,三味線と津軽三味線は別物である。しかし世間では三味線=津軽三味線と誤解されているようなのだ。細川たかしの歌や若手兄弟演奏家の影響だろうが,津軽三味線は特殊な楽器であって,やはり日本人ならばもっと本来の三味線に親しみを持つべきだと思うのである。

やがて車掌から「晩酌セット」なるものの案内があった。ハタハタ,イカなどのつまみと地酒のセットで1個1000円。鯵ヶ沢駅到着までに申し込むと,あきた白神駅発車後に席まで届けてくれるという。夕日を眺めながらコップ酒なんていいじゃないか。しかし,こんな人の弱みに付け込んだ商売に引っかかってなるものかと,断固申し込みは拒否する。


北金ヶ沢駅でリゾートしらかみ3号と行き違い。

 
鰺ヶ沢のあたりから海岸線を走る。天気が良いのできれいだが,特に景勝地があるわけでもない。


深浦駅で8分間停車。


車内販売で「しらかみ弁当」を購入した。これは1000円で非常に充実した内容である。秋田駅の駅弁は総じてレベルが高いと思う。

車内は乗車率50%未満で,観光客はあまり多くないようだった。五能線は列車の本数が少ないので,リゾートしらかみも地元の人たちの足として利用されているようである。せっかくの大きな窓も大半がブラインドで閉ざされており,車窓を見てきゃっきゃと騒ぐ観光客がいなかったのは少々寂しかった。


それでもウェスパ椿山駅では多数の観光客が乗り降りした。

東能代でスイッチバックして奥羽本線に入る。乗客もやる気がないようで,誰もイスを回転させていなかった。関係ないが夜中に遠軽で座席を回転させるのはやめてほしい。


南能代信号場で特急かもしか5号と行き違い。


男鹿半島の落陽。

2度目の五能線だったが,やはりそれほど素晴らしいとは思わなかった。五能線が日本一のローカル線と称されるなら,ふるさと銀河線など世界一のローカル線と称されてもいいぐらいに思う。それでもなぜ五能線がこれほど人気があるのかといえば,やはり商売がうまいからだと思う。北海道でも大いに五能線の取り組みを参考にしていきたいところである。


秋田到着。

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