北海観光節旅行記モリオカの太鼓

2004年7月30日〜8月3日

  旅をすれば自分は変わるのだろうか?

  旅をすれば出会いがあるのだろうか?

  旅をすれば幸せになれるのだろうか?

わたしは何の疑問もなく,旅にはそういう効用があるものだと思っていた。次の旅が何か人生の転機になるのじゃないかと,服や鞄を新調したり,毎回肩に力を入れて旅に望んできた。しかし旅を重ねるごとに,これらの疑問に対して否定的に考えざるを得なくなってきた。

結局旅をしても何も変わらないのである。出会いなんかない。あったとしても汽車旅というスタイルをとっている以上,それは一期一会の出会いである。もし本当に出会いを求めるなら,相部屋の宿に連泊したりすべきだろう。そういうスタイルをとってこなかったのは,わたしが暗に「面倒な」出会いを望んでいなかったということでもある。

旅をしている間はたしかに幸せに気持ちになれるが,それは単に現実逃避であり,帰ったときには仕事を休んだ分だけ机に書類がたまっている。幸せとはもっと日常の中にあるものではないだろうか。例えば,仕事帰りに駅前の商店街でウィンドウショッピングを楽しむ,たまには小粋な古本屋や文具屋に入って掘り出し物を見つける,そんな何気ないことこそが実は本当の幸せなのではないかと思う。

しかしだからといって旅をすることが無駄だという話にはならない。わたしがこのようなことに気がついたのも旅をしたからだし,旅をしてみんな大きくなるのだ。ただ,今度はもうちょっと自然体で旅に臨んでみたいと思う。

今回の旅はおなじみの東北である。3日間の夏季休暇を使い果たせば土日と合わせて5日間の旅行が可能となるが,無理をせずに4日間の日程にとどめた。訪れるところも別に取材旅行じゃないのだから好きなところだけ訪れればよいのだと思って,2回目となる盛岡のさんさ踊りをメインに,浄土ヶ浜,龍泉洞など前にも訪れたことのある観光地を再訪することにした。

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