小諸駅前。小諸といえば中山道,北国街道,甲州街道の交わる古くからの宿場町だが,駅前は意外と窮屈に感じた。
駅の裏すぐが小諸城の跡で,懐古園という公園になっている。一角に「渥美清こもろ寅さん会館」があった。
今年で渥美清さんが亡くなって10年になる。ということは,わたしが鉄道旅行を本格的に初めて10年が経つということだ。大学2年の夏休み,アルバイトの収入で北海道フリーきっぷを買って旅に出た。渥美さんの死を知ったのは,その2日目のことだった。私が「男はつらいよ」シリーズにはまったのはその直前のことで,来年の正月は絶対「寅さん」の映画を見に行こうと決心していただけに,突然の訃報はショックだった。
寅さん会館は年末で休館だったため,懐古園の中を歩いて駅に戻った。
「小諸出て見りゃ浅間の山に,今朝も煙が三すじ立つ」と小諸馬子唄に唄われる浅間山。
軽井沢に降り立つのは8年ぶり。駅裏の軽井沢プリンスショッピングプラザを散策してみる。ゴルフ場の跡地できた巨大なアウトレットモールだが,アウトレット品をわざわざ軽井沢まで買いに来る人がいるのだろうか。
軽井沢周辺には意外にも弁当など売っている店がなかったので,駅のおぎのやで軽食とする。月見そば(400円)を頼むと,「生から茹でるので3,4分かかる」と言われ,出てきたのは月見うどんだった。
軽井沢と草津温泉を結ぶバスは草軽交通と西武高原バスの2社が運行しているが,運賃はそれぞれ2200円,3770円で,ずいぶん差がある。危うく高いほうの西武高原バスに乗るところだった。
草軽交通のバスはまず旧軽井沢の軽井沢銀座商店街,続いて別荘地を通過する。日本人ならば軽井沢に別荘を持つのがブルジョアの証みたいな考え方があるのだろうが,どうもそんなに素晴らしい環境の別荘地だとは思わなかった。旧三笠ホテルを過ぎると有料道路の白糸ハイランドウェイに入った。標高は1000mを越え,路面はアイスバーン状態となっていた。そのためかバスの運転手は殺気立っていた。
軽井沢発車時はそれなりに盛況だった車内も浅間牧場などでだいぶん降り,草津温泉到着時には5人になっていた。