北海観光節旅行記それでも僕は東北へ行く

只見線

小出13:17発→会津若松17:19着 只見線 会津若松行き普通列車

2両編成のディーゼルカーは6〜7割くらいの席の埋まり具合で発車した。只見線は1998年10月以来8年ぶりの乗車である。

小出を出発するとすぐに右に大きくカーブを切って上越線と別れていくが,なにか事故でもあったと不安になるくらい遅い。それもそのはず,この列車は表定速度33.5km/hというノロッコ号並みの鈍足列車なのだ。

大白川でタブレット交換。只見線は小出〜西若松間が通票閉塞で,いまやこれほど長距離の線区でタブレット交換が見られるのは全国でも唯一の存在である。

大白川から只見までは,昭和46年,只見線で最後に開通した区間である。この間の国道252号六十里越は冬季通行止めとなるため,小出方面から只見へは鉄道が唯一の交通手段となる。

福島県に入って只見駅到着。たくさんの人が降りていった。

この先は1日3往復のみ運行という全国屈指の閑散区間となるが,乗客はまだたくさんいた。年末とあって,観光客より,帰省の人が多いようである。

只見線に乗っていると,つい山や川に気をとられがちだが,何気ない風景も素晴らしいものがある。そういえば8年前に乗ったときもまったく同じ感想を抱きながら,結局山と川の写真しか撮らずに後悔したことを思い出した。

会津蒲生駅では待合室でいったいいつから待っていたのかというような感じで,しわくちゃなお婆さんが2人待っていた。親戚であろうか,列車からご老人が3人降りると,待合室からお婆さんが出てきて,何度も何度も頭を下げていた。

会津塩沢駅では色眼鏡をかけた貴婦人が一人列車を降りた。ホームでは姪御さんであろうか,白い耳掛けをした少女が黄色い長靴を胸に抱いて待っていた。二人並んで雪原を歩いていく様子はドラマの一場面を見ているようだった。

会津大塩駅では,真っ黒に日焼けしたDay men風の男と女が降りた。駅前で待っている車を見て,女が「中学の友達だ」と嬉しそうに言った。

1日3本しか列車が走らなくても,列車は様々な人生を運んでいるのである。いつもでもこういう風景が残ってほしいと思った。

只見線のほぼ中間地点にある会津川口駅に到着。ここで両端の駅をそれぞれ13時台に出た列車が出会い,10分ほど停車する。駅舎の中には売店もあって賑わっていた。

西若松駅でタブレットを返却する。鬼怒川温泉経由で浅草と結んでいる会津鉄道が西若松で合流するため,ここから先わずかな区間だが,特殊自動閉塞となる。

 

会津若松到着。只見線はやっぱり乗って良かったと思った。

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