北海観光節旅行記旅はオールデー・オールナイト

八王子温泉

プレジャーフォレスト前20:08発→相模湖駅20:15着 神奈川中央交通 湖21系統

19時55分観覧車を下車,19時56分ペアリフトに乗車,20時ちょうどペアリフトを下車。そこから全力で走り,何とか20時8分発のバスに間に合った。バスにはイルミネーションの見学者も大勢乗っていた。

これからそれぞれどこへ行くのだろう。除夜の鐘つきだろうか,どこかのカウントダウンイベントだろうか。いずれにしても,良い年をお迎えになられますように。

相模湖20:28発→八王子20:46着 中央本線 東京行き普通列車

バスは混んでいたが,列車は10両編成なのでゆったりと乗ることができた。

もう,紅白歌合戦が始まっている時間だ。

Suicaでは旅の雰囲気が出ないからと片道乗車券を買ったが,八王子で降りるのに間違って新宿まで買ってしまった。最近飲んでいるアレルギーの薬のせいか,どうもうっかりミスが多い。それでも何とかここまで大きな過ちを起こさずにやってきた。

乗車券の前途放棄で八王子駅にて下車。大晦日独特のせわしなく寂しい雰囲気が漂う。

八王子で下車したのは,風呂に入るため。明日に備えて,体をきれいにしておこうと思う。

受付で入浴料を支払おうとすると,あと5分ほど待って21時になれば割引料金になると言われた。次に乗る列車は21時33分なので,5分間は貴重なのだが,待つことにした。

スーパー銭湯のような施設だが,お湯は塩気の強い温泉だった。

待合室のテレビには紅白歌合戦が映っていた。

今年の紅白には陸前高田市出身の千昌夫が出場するという。実に紅白で6回目の歌唱となる「北国の春」で,22年ぶりに請われて出場するというその事実だけで,涙が出てきそうである。

結局またぎりぎりになってしまい,早足で駅に戻る。繁華街にはけばけばしいネオンが煌めき,風俗店の執拗な客引きに遭った。今朝から,立て続けに聖地を巡り,図らずもこれ以上ないというくらいに身も心も清められたところだっただけに,吐き気を催すような嫌悪感を感じた。客引きをこれほど嫌に感じたことはなかった。

八王子21:33発→新宿22:19着 中央本線 東京行き快速列車

いよいよ東京が近づいてきた。車内も混んできた。立川から賑やかな外国人の青年がどっと乗り込んできて,周りを囲まれてしまった。雰囲気からして恐らくアメリカ人であろう。アメリカに行ったことはないが,まるでニューヨークの地下鉄にでも紛れ込んでしまったような気がした。

新宿22:25発→池袋22:30着 山手線 外回り

ついに東京に来た。ついにと言っても,新宿には今年20回くらい来ているが,3日間かけてここまで来たので今日はまた別の感慨がある。

山手線で4駅,バス乗り場のある池袋駅西口に着いた。

池袋駅西口22:50発→陸前高田市役所仮庁舎6:28着 岩手県交通 釜石行きけせんライナー

気仙沼,陸前高田,大船渡,釜石,大槌といった,三陸の被災地行きの夜行バスは,この乗り場から出る。

大晦日にもかかわらず,バス乗り場には,たくさんの人たちがいた。一見して観光客風の人はいない。本来であれば家族そろって新年を迎えるべき大つごもり夜に,夜行バスに乗る。しかも行き先が津波による被災地とあっては,乗客それぞれ何らかの事情を抱えているものと思われる。

 

岩手県交通の「けせんライナー」は,3月の震災以来,気仙沼行きと釜石行きの2系統に分割されて運行している。釜石行きは一関,千厩,気仙沼を通過し,陸前高田が最初の停車となる。本日の釜石行きは2台での運行だった。

バスに乗るとき,乗客にはクラッカーが一つずつ渡され,23時59分カウントダウンの開始。年が明けると同時に,車内にクラッカー音が鳴り響き,見ず知らずの乗客どうし,年が明けた喜びを分かち合う。

というようなことは,あるはずもなかった。池袋駅を出たバスは早々に消灯し,気づかないうちに新年を迎えた。

振り返ってみると,この10年,新しい年を迎えるときには,どこかのイベント会場の中にいた。

2002年 中尊寺
2003年 門司港カウントダウン
2004年 東京ミレナリオ
2005年 北の大文字
2006年 永平寺
2007年 中尊寺
2008年 臼杵石仏
2009年 高田本山専修寺
2010年 高尾山薬王院
2011年 出羽三山神社

この間,1999年の12月に父方の祖父が死んでからは身内に不幸もなく,比較的平穏な10年間だった。

しかし,今年に関しては,バスの中で,ひっそりと新年を迎えるのがふさわしい気がした。

ぴったりとカーテンが閉ざされたバスは,どこを走っているのかわからないが,滑らかに高速道路を移動していった。高速道路を降りると,我々をどこかへ迷い込ませようとしているのかと思うくらい,何度も何度もウィンカーを出して,ぐるぐると回り,定刻より5分ほど早く陸前高田市役所仮庁舎前に到着した。

既に空が白み始めている。これは間違いなく初日の出が見られそうである。

2台のバスからはそれぞれ10名程度が下車したように見えた。陸前高田市内唯一の降車場であるが,バスターミナルの機能はなく,下車した人たちはそのまま四散していった。

 

市役所の仮設庁舎。もとの庁舎は津波の直撃を受け,市役所の職員だけで113名が亡くなるか行方不明になったという。

市役所庁舎前の仮設トイレ。たぶん,このあとしばらくトイレはないので,ありがたく使わせてもらった。

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