北海観光節旅行記旅はオールデー・オールナイト

高田松原・一本松

元日に陸前高田を訪れるのは2007年以来5年ぶりである。このときは出がけにデジカメが壊れてしまって,陸前高田市内で撮った写真は「写ルンです」で撮った4枚しかない。

2007.1.1 高田松原 2007.1.1 高田松原
2007.1.1 高田松原 2007.1.1 陸前高田駅8時14分発盛行き普通列車

高田松原には初日の出を見るために市民が集まり,日が昇るのを神妙に面持ちで待っていたのが印象的だった。あの場所にいた人たちは助かったのだろうか。

高田松原はなくなってしまったが,同じ場所でもう一度初日の出を見てみたいと思った。


今回の旅行は下調べが十分にできなかったので,現在いる場所が判然としない。とりあえず,こちらが海だろうという方向へ坂を下りていく。

バスの到着が6時23分。7時前には日が昇り始めるはずだから,それほど時間はない。

切り通しの向こうに,薄明に青く浮かんだ荒野が見えた。これが津波の跡かと,胸にぞくぞくと迫るものがあった。

ローソン陸前高田鳴石店。市内のローソン仮設店舗1号店として4月22日にオープンしている。午前7時からの営業で,車の中で開店を待っている人たちもいた。

中心部につながる道を下っていく。この辺はまだ津波の被害を受けていないようだ。

いよいよ津波が襲来した地区に入る。

プレハブで営業を始めていた店は生花店だった。

跡形もない市街中心部。

そんな中にも,きれいな庭ができていたりして心を慰めてくれる。

陸前高田駅前の大通り。5年前に訪れた記憶もこれではたどりようがない。

マイヤ 市民会館 市役所

家屋のがれきは片付けられ,鉄筋コンクリート造や鉄骨造の大型建築物だけが被災を受けた姿のまま取り残されていた。

6時53分,山の端が赤く色づいてきた。日の出はもうすぐだ。

国道45号高田バイパスに突き当たる。

5年前に来たとき,ここをどう進んだか,記憶が定かではない。

高田松原のどこで日の出を見るべきか,迷いがあった。話題の一本松で見たい気もするし,あえて5年前と同じ場所で見たい気もした。といっても一本松の場所がわからない。

たしか5年前は左に進んだはずだと思って,左に曲がり,歩みを早める。後でわかったのだが,ここで振り返れば一本松が見えたはずだ。このとき目に入らなかったのは,やはり前と同じ場所で見たいという気持ちが強かったのかもしれない。

壊れた野球場の脇を通って,松原の跡に入る。

初日の出。一人手を合わせてお天道様を拝む。

松原はなくなり,きれいな砂浜も地盤沈下で消えていた。5年前,少林寺拳法の少年団が初稽古をしていたのがこの辺だと思うが,今日は誰もいなかった。

振り返ると,遠くに一本松が見え,カメラのフラッシュがぴかぴかと光っていた。

一本松があるのは高田松原の西端だった。現在いる場所からは2kmほど離れている。国道へ戻って,いまさら急いでも仕方がないと思いながらも小走りで向かう。

駐車場にはたくさんの車が停まっていた。

がれきの山の中を海岸へ向かう。

報道関係も新聞社,テレビ局各社が来ていた。

しおさい橋を渡る。

奇跡の一本松。枯れてしまったとはいえ,何か希望を感じさせてくれる立ち姿である。

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