北海観光節旅行記白鬚神社と沖縄・東北

白浜旧道

結局,上原航路は予想どおり欠航だった。

当初の計画では,浦内川11時30分発の遊覧船に乗って,マリュドゥの滝,カンピレーの滝を訪ね,星砂の浜などを巡って,上原港16時40分発の石垣行きに乗る予定だった。

代替案として選択肢に上ったのは,次のようなプランである。

1) 上原までは当初計画どおり決行,大原までタクシーを使う(6000円程度)

2) マリュドゥの滝,カンピレーの滝をあきらめ,浦内川往復のみにして,路線バスで大原に行く。

3) 仲間川の遊歩道を展望台まで歩く。

仲間川の遊覧船は,合う時間がなかった。1)はあまりに強引であり,2)は半端すぎる。3)は魅力的だが,展望台まで歩くには時間がやや足りない気がした。

なかなか妙案が思い浮かばなかったが,開き直って考えたのが,白浜からバスに乗らず,行けるところまで歩くというプランだった。歩くというのは,最も贅沢な旅の手段である。うまくいけば,浦内川の河口くらいまで行けるはずだ。途中,祖納,星立という古い集落も通る。昨日,上原を通ったが,地図ではいろいろな店があって魅力的に見えたものの,実際にはあまりきれいな集落ではなかった。そう考えると,当初計画よりもむしろ魅力的なプランであるようにさえ思われた。

行き止まりの集落,白浜。

東経123度45分6.789秒が通っていることを記念したモニュメント。

ヤギがいた。

長い西表トンネルを避けるため,旧道を行く。1992年にトンネルが開通するまで使われていた道で,春先にホタルが見られるという。

 

自然度は高い。

白浜の入り江を見下ろす。

峠を越えると水田が見えた。

ちょうど田植えをやっているところだった。このあたりは地名を美田良といい,由来はわからないが,西表島西部で最も良い水田が作れる場所だという。

30分ほど歩き,県道に合流した。北海道並みに広い歩道が整備されているので,安心して歩ける。

なんという鳥だろうか。車を停めて写真を撮っている人がいた。

 

アラバラ川河口のマングローブ。別に浦内川や仲間川でなくてもマングローブは見れるわけだ。

祖納港。

西表西部診療所。この診療所の前の道を上っていくと,祖納ふるさとの森の展望台があることはわかっていた。しかし,片道少なくとも20分はかかると思われたので,行くのはやめておこうと思っていた。

でも少しだけ上ってみよう。墓は相変わらず大きい。

直線的に上れば,展望台はすぐのはずだが,車道として道がつけられているので,上ったり下ったりしながら,ひどく遠回りをしている。ある程度で引き返そうと思っているうちに,引き返すタイミングを逃し,行くとところまで行かなければ示しがつかないという具合になってきた。いつもの悪いパターンだ。展望台まで行けば,集落までショートカットする地図に載っていない道があるのではないか,そんなことも期待した。

切り株型のトイレが現れた。

最初の展望台。草むらに覆われ,ほとんど展望が効かなかった。

やがて車道が切れ,遊歩道となった。

5分ほどで展望台に着いた。ここも展望は良くない。

道の規格は明らかに落ちたが,さらに上に行く道があった。

NHKの鉄塔があった。

 

ここから,祖納,星立の両集落を見下ろすことができた。

地図を見ると,展望台の周りを数kmに及ぶ人工的な崖が取り囲んでいる。これは1770年に完成した石積みの猪垣で,今は木に覆われているこのあたり一帯は,かつて畑であったという。

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