函館本線

伊納 いのう 無人駅
旭川市江丹別町春日
明治31年7月16日開業
標高97m  190人
複線
函館より413.0キロ
納内より12.7キロ
2000.8.12下車

●納内→伊納の車窓

引き続き水田の中を東へまっすぐ走る。右前方には神居山がそびえ,山麓がカムイスキーリンクスになっている。あまり知られていないが,旭川近郊では最大規模のスキー場である。
道央自動車道が横一直線に頭上を過ぎると,線路としばらく並走してきた道道旭川深川線が石狩川を渡って対岸に行ってしまう。ここから先,石狩川の右岸はしばらく鉄道が独走する。
にわかに谷が狭くなるとまもなく列車は延長4523mの神居トンネルに入る。もとはトンネルに入らずに石狩川の谷を正直に遡っていた。旧線はサイクリングロードになっており,途中にあった神居古潭駅も旭川市郷土博物館分館として保存されている。カムイコタンはアイヌ語で「神の里」を意味する峡谷で,この峡谷があるために札幌側から見ると旭川が実際の距離以上に遠く感じられる。
新線は滝川−旭川間の電化とあわせ昭和44年10月に開業し,神居,伊納第一,伊納第二の3つのトンネルを貫いて伊納駅に至る。

●伊納駅

石狩川河畔の狭小な平地で,駅周辺には数戸の農家があるだけ。旧江丹別村唯一の駅ではあるが,江丹別市街から直接往来できるわけでもなく,なぜここに駅があるのだろうかと思う。恐らく開業当初は信号場としての役割が強かったのだろう。現在は旭川北都商業高校の通学生が主に利用している。
またこの駅には奇妙なことが2つある。ひとつは貨車改造待合室が2つ並んでいること。時刻表は線路側の待合室のみに掲示されているが,ゴミ箱はJR北海道使用のものが双方に設置されている。内部は閑散としており落書きなどない。
もうひとつは本線の下に線路があること。架線も張られ,分岐器,踏み切り,非常警報機など一連のものが設置されているが,この線路はどこにもつながっていない。実物大の模型のようにも見え,訓練か実験用の施設のようにも思われる。

●見どころ

旧線のサイクリングロードは伊納の先のトンネルが通行止めとなっており,神居古潭への通り抜けはできない。しかしトンネル入口までは行くことができ,石狩川の河畔に野の花が咲く中を散策するのも気持ちが良いだろう。

納内 北海道駅前観光案内所 近文