[北海観光節]  [北海道駅前観光案内所]

室蘭本線 その1

[長万部→東室蘭]


全国鉄道地図,昭文社,1975

特急に乗っていっきに通過してしまうことが多いこの区間ですが,北海道でも歴史ある一帯なだけに情緒あふれる見どころがたくさんあります。伊達は北海道の湘南と言われ,もちろん夏は真っ青な海と赤茶けた有珠山がコントラストを見せて素晴らしいのですが,春の善光寺や,冬の礼文華海岸にも心打たれます。。

室蘭本線[長万部→東室蘭]の概要


●歴史

石狩炭田の石炭を運び出した古い歴史を持つ室蘭本線だが,長万部−東室蘭間は比較的新しい。長万部,東室蘭両側から長輪西線,長輪東線として建設が進められ,昭和3年に全通。急勾配のある函館本線山線に代わるバイパス線としての役割と,旧胆振線沿いの脇方,徳舜瞥の鉄鉱石を室蘭の製鉄所へ輸送する目的があった。昭和6年に長輪線は室蘭本線に編入。昭和36年特急おおぞらが室蘭本線経由で運行開始。昭和40年代から50年代にかけて線路の改良と複線化が進められて(正確な年代がわかる方はご教示ください)幹線としての地位を増し,昭和61年11月改正では札幌方面への特急・急行列車が全列車室蘭本線経由となった。1994年3月,気動車振子特急のスーパー北斗が130km/h運転を開始した。

●車窓

かつては礼文華海岸から洞爺にかけて,断崖絶壁の下を海岸にへばりつくように走り,その絶景はさまざまな文学にも描かれたが,現在ではそれらの険しい箇所はことごとくトンネル化され,見どころは減った。
長万部からはしばらく茫漠とした海岸を行く。このあたりは霧と土地の悪さにより戦後まで開拓されなかったところ。静狩からは静狩峠,礼文華峠をトンネルで突き進む。両峠の中間に,秘境の駅として名高い小幌駅がある。礼文からもトンネルが多いが,時折のどかな海を望むことができる。洞爺湖の玄関口・洞爺駅を過ぎるころからは,左手に荒々しい有珠山が現れる。仙台藩士が開拓した殿様の街・伊達紋別ではホームの巨大な兜がお出迎え。真っ青な内浦湾や,海の向こうの駒ヶ岳を望む見つつ南下すると室蘭に入り,精油所の巨大な施設や白鳥大橋などスケールの大きな景色が飛び込んでくる。

●運行系統

バイパス線としての役割が強いだけに,特急列車や本州直通の貨物列車が目立ち,普通列車の本数は少ない。特急停車駅は長万部,洞爺,伊達紋別,東室蘭で,東室蘭以外は通過する列車もある。青森−札幌の急行はまなすは伊達紋別(上りのみ),東室蘭に停車する。
普通列車は長万部−東室蘭間に7.5往復と,豊浦,洞爺,伊達紋別から東室蘭方面への区間列車があり,一部の列車は苫小牧や室蘭に直通する。基本的に各駅停車だが,旭浜と小幌は通過する列車がある。

●利用状況

豊浦−東室蘭間の通学利用が主。長万部−室蘭の相互移動は少なく,普通列車の長万部−豊浦間はがら空きとなる。また洞爺には特急が停車するものの,洞爺で乗り降りする観光客はそれほど多くない。その他,休日や夏休みには旅行者が増え,普通列車では一日散歩きっぷを利用している乗客が大半を占めることもある。長万部駅での函館本線の普通列車との接続は極めて悪いが,数少ない接続の良い列車は,乗り換え客で混み合うこともある。

●車両

普通列車はキハ40形700番台とキハ150形100番台が充当されている。キハ150形100番台は富良野線,函館本線(長万部−札幌)で使用されている0番台から冷房設備をなくしたもの。制限速度いっぱいでの走りが楽しめる。特急列車については省略する。

キハ150-100の車内

それでは,室蘭本線各駅停車の旅をお楽しみください

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