[北海観光節]  [北海道駅前観光案内所]

根室本線 その3

[浦幌→釧路]


1976.7道内時刻表より(合成しています)

"根室本線その3"は浦幌から山を越えて釧路へと向かいます。特急は130km/hの猛スピードで息をつく暇もなく飛ばして行きますが,鈍行列車でとことこ行くと,いよいよ北海道も果てまで来たという実感が沸いてきます。車窓から鹿を見ることも珍しくありません。実際こういう旅情を求めて鈍行で釧路に行く旅人は少なくなく,夏休みには老若男女,全国から来た旅人で賑わいます。

根室本線[浦幌→釧路]の概要


●歴史

釧路方面から北海道官設鉄道釧路線として建設が進められ,明治34年7月20日に釧路−白糠間が開通,明治36年3月1日には音別,同年12月25日には浦幌に達した。
以来,道東開拓のまさに幹線としての役割をはたしてきたが,1960年代になると並行して走る国道38号が整備され自動車の利用が増加したことと,石炭産業の衰退の影響もあり,1970年に雄別鉄道,雄別炭鉱尺別鉄道が,1984年に国鉄白糠線が廃止となり,根室本線だけが残された。
しかし,冬の交通に不安のある本道では鉄道に対する期待は大きく,1981年10月の石勝線開通により札幌方面への所要時間が大幅に短縮。さらに,1997年3月には高速化工事が完了し,283系特急・スーパーおおぞらが130km/h運転を実施,札幌−釧路の所要時間が3時間40分に短縮された。

●車窓

北海道の中でも非常に地味なエリアで,全体として茫漠とした風景である。浦幌を出ると山越え区間に入る。古い路線なのでカープや勾配は狩勝峠よりもむしろ厳しい。厚内からはおおむね海沿いを行くが,実際に海がよく見えるのは厚内−直別間,音別−古瀬間ぐらいである。産業としては酪農や漁業が細々と続けられているようだが,稲作はもとより畑作もほとんど見られない。原野にも見える湿原が印象的だが,それらも一度は開拓が試みられた離農跡だと思われる。
白糠からは車窓にやや活気が出てきて,庶路まで市街地が続いた後は,工業地域となり,製紙工場,肥料工場,水産加工施設などが見られる。
この沿線は雪があまり降らない。夏は晴れることが少なく気温があまり上がらない。特に観光地はないが,浦幌から白糠の辺りはいい味を出している駅が多いので,探訪してみるのもおもしろいだろう。
釧路に向かって右側の車窓が優れている。

●運行系統

特急は札幌−釧路間に「おおぞら」が4往復,「スーパーおおぞら」が3往復。うち,特急おおぞら13・14号はB寝台客車を2両連結した夜行列車である。途中の停車駅は浦幌,音別,白糠で,それぞれ一部の列車しか停車しない。
普通列車は帯広方面への直通列車が7往復あるほか,厚内,音別,白糠,大楽毛発着で釧路への普通列車が設定されている。浦幌,厚内では編成の解結もあるので注意。快速ぬさまいは廃止され,全列車普通列車となったが,直別,尺別,古瀬,新大楽毛は通過する列車がある。滝川−釧路の308.4kmを走破する列車が1往復残っているのも貴重である。

●利用状況

十勝支庁と釧路支庁の境は厚内−直別間にあるが,厚内からは帯広よりもむしろ釧路方面への移動が多く,実際の圏界は浦幌−厚内にある。したがってこの区間の地元の利用者は極めて少なく,車内は旅行者が中心となる。しかし上厚内,厚内から帯広へ通学する高校生もわずかにいるようで,それが可能なダイヤ設定となっている。
音別から釧路方面は利用者が多く,車内に活気が出てくる。しかし,おおむね席には余裕があり,1人1ボックスを確保することが容易なことが多い。
帯広方面からの直通列車は,夏休みなどには大きな旅行カバンを持った旅人で賑わい,まさに旅列車の雰囲気となる。逆に釧路500発の芽室行きは,おおぞら13号を白糠で下車して折り返して乗車することになるが,5両の長編成に乗客は自分1人だけという貴重な経験ができるかもしれない(休日は編成が短縮される)。

●車両

特急おおぞらは183系,スーパーおおぞらは振子車両の283系。
普通列車は基本的に2+2セミクロスシートのキハ40形700番台で,音別・白糠−釧路の区間列車に一部キハ54形500番台が充当されている。これには花咲線のロゴが入った車両も入っている。大半は単行または2両での運行で,3両編成の列車もわずかにある。釧路500発芽室行きは厚内まで車両回送のため5両編成となる。

それでは,根室本線その3各駅停車の旅をお楽しみください

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