[北海観光節]  [北海道駅前観光案内所]

石勝線

[南千歳→新得]


石勝線0キロ標,南千歳駅

石勝線[南千歳→新得]の概要

特急券なしで特急に乗れることで有名な石勝線。そのためには,新夕張・新得で下車しなければなりません。せっかくですので,下車ついでに周辺を観光しましょう。夕張からバスで栗山に出たり,占冠からバスで根室本線の金山駅に乗り継いだりすれば,石勝線の楽しみはぐんと広がります。また,石勝線の車窓には,列車からしか見れない北海道の素晴らしい自然と,北辺の地に生きる人々のたくましさ見ることができます。


●歴史

石勝線は1981年に開通した新しい路線である。石勝線の役割は道央と道東を短絡するということに尽き,従来の滝川経由のルートに比べ約46km短縮されている。石狩・十勝連絡線の構想は明治からあったものの,計画が具体化したのは昭和30年代半ばと比較的遅い。この第一の理由は北海道の脊梁を貫くことの技術的な難しさであった。
石勝線のうち,追分−夕張間は旧夕張線を編入したもので,夕張の石炭を室蘭港へ輸送するため,明治25年に北海道炭鉱鉄道により敷設されている。また,上落合信号場−新得間は根室本線の付け替えにより,昭和41年に開業している。石勝線はこれらに接続する,千歳空港−追分間の追分線,新夕張−占冠(金山)間の紅葉山線,占冠(日高)−新得間の狩勝線に計画上は分けられて工事が進められた。
石勝線開業に先立ち昭和55年10月1日,石勝線の分岐駅となる千歳空港駅(現・南千歳)が開業,また同56年6月30日に夕張線の紅葉山−登川間が廃止。そしてついに同年10月1日,石勝線が開業した。なお,昭和61年10月31日には富内線が廃止され,紅葉山線・狩勝線の一部である日高町−金山間は建設されずに終わった。
開通後まもなくより当初石勝高原駅とトマム駅周辺でスキーリゾートの開発が進み,昭和60年2月に北海道初となるリゾート列車・アルファコンチネンタルエクスプレスが運転を開始した。1993年3月急行まりもが廃止され,楓−新得間は特急列車のみの運転となる。1997年3月,スーパーおおぞらが130km/h運転を開始した。2001年7月,札幌−釧路間の昼行特急が全便スーパーおおぞらとなり,夜行の特急に「まりも」の愛称が復活した。
2004年3月7日,北海道に唯一残っていた清水沢駅の腕木式信号機と通票閉塞が役目を終える。翌週3月12日には1日1往復のみの極限ダイヤで注目を集めていた楓駅がついに廃止された。

●車窓

石勝線の特徴としてまず,トンネルと橋梁が多いこと,また踏みきりがないこと,そして分岐部のスノーシェルターがあげられる。このような特徴を持つ近代的な線路から見る風景は,他の線区とはかなり趣が異なる。
千歳を出ると駒里の牧場を通り,馬追丘陵をトンネルで通過,追分で室蘭本線と交わる。追分から旧夕張線の区間に入ると,夕張川が印象的で,とくに滝ノ上付近の竜仙峡は素晴らしい。新夕張から夕張方面に入ると,山あいにかつて炭鉱で栄えた街が続くが,もはや往時の賑わいは偲び難い。
新夕張から占冠まではほとんどがトンネルであるが,わずかな明かり部分からは,北海道の最奥部の風景が展開する。一見何もない山の中に見えるが,かつては集落が点在し,途中に設けられた信号場はもともと駅として計画されたものである。
のどかな山村の占冠を過ぎると,トマムの谷に入り,鵡川を何度となく渡る。超高層ホテルの建つトマムリゾートを過ぎると,石勝線のサミット標高543mに達し,新狩勝トンネル内の上落合信号場で根室本線と合流,新得まで軽やかに下る。
南千歳→占冠は右側,占冠→新得は左側の車窓が良い。

●運行系統

普通列車は主に千歳・追分を基点とし,新夕張・夕張方面に運転されている。新夕張−夕張間は1日9往復,完全な折り返し運転となっている。また,苫小牧発夕張行列車が1日1本運転されている。
石勝線の主役となっているのは札幌と道東を結ぶ特急列車で,帯広行のとかち・スーパーとかちが6往復,釧路行のスーパーおおぞらが6往復している。冬季にはこれにトマム・新得方面の臨時列車が加わる。新夕張−新得間では普通列車が運行されていないため,特急券なしで特急自由席に乗車できる。この特例は新夕張−新得間の駅で乗車も下車もする場合に適用され,青春18きっぷなどで利用する場合には,必ず新夕張,新得で下車し普通列車に乗り換えなければならない。もちろんトマム−新得間などの利用も可能である。

●利用状況

普通列車は概して空いており,のんびりとした汽車旅が楽しめる。休日には1人も乗客がいないということも珍しくない。新夕張−夕張間では通学に利用されているので,時間帯によっては混みあう。夕張−楓間はもっぱら鉄道マニアに利用されており,濃厚な雰囲気が味わえる。
新夕張−新得間で特急自由席を利用する場合,冬を除けば座れることが多い。ただ,指定席が満席になっていれば,自由席も埋まっている。おおぞら系よりはとかち系のほうが空いている。いっぽう冬は南千歳−トマム間を利用するスキー客が多いため,自由席は混雑していることが多い。各列車,札幌寄りの2両が自由席となっている。

●車両

普通列車はすべて苫小牧運転所のキハ40形700番台を使用。追分下りの始発が新夕張まで3両編成,新夕張−夕張間の朝1往復が2両編成で運転されるほかは単行である。列車の運転手は年配の方が多い。車両の壁には「守ろう禁煙,守ろう乗車マナー」,「ガムをかんだら床に捨てずゴミ箱へ」と張り紙があり,庶民的な雰囲気を味わえる。

それでは,石勝線各駅停車の旅をお楽しみください

駒里信号場へ

各駅の紹介では,
『石勝線建設工事誌』:日本鉄道建設公団札幌支社,1982.3
の他,『穂別町史』,『新穂別町史』,『占冠村史』を参考にしています。
また,信号場の探訪にあたっては,友人のれんがもちさんに多大な協力をいただきました。記して感謝いたします。