江別地区市民まつり

訪問日:2007年8月4日(日)

場所:江別市コミュニティセンター前イベントロード

この日は稚内のてっぺん踊りを見に行く予定だったが,台風襲来のため中止となり,歌舞裸まつりの市民踊りパレードを見ようと美唄に行くも,やはり中止になった。それで「小雨決行」と頼もしいこの盆踊りを訪ねることにし,図らずもこの年最初の盆踊り見物となった。

江別市は道内でも特に盆踊りが盛んな地域で,7月下旬の大麻・文京台地区の市民夏まつりを皮切りに,約1か月にわたって市内各所で盆踊りが催される。

いまではすっかり大麻や野幌の陰に隠れてしまった江別地区だが,もとはやはり江別市の中心らしい賑わいがあったわけで,幌内鉄道や石狩川汽船,樺戸集治監を結ぶ道路が交わる内陸交通の拠点として市街地が形成された。現在でも,江別駅と千歳川の間には立派なアーケードを持つ商店街が残っている。

人口12万人を超える江別市では,江別地区,野幌地区,大麻・文京台地区の3地区に分けて夏まつりが実施される。前日には市民おどりや北海鳴子踊りが行われ,2日目の今日は盆踊りがメインイベントである。

 

小雨模様だったが,コミュニティセンターの内外に縁日夜店市が出て,子供たちで賑わっていた。

18:30〜19:10 子供盆踊り

コミュニティセンターの広場は猫の額ほどの大きさだが,隣接する道路がブロック舗装になっており,イベント時には道路を車両通行止めにして,コミュニティセンターの広場と一体的に利用できるようになっている。

子供たちはお姉さんの後ろに行儀良く並んで踊りが始まったが,徐々に雨の降り方が強まり,開始からわずか7分でいったん中断された。

広場に隣接して体育館があり,イベント広場と一体的に利用できるようになっていた。この辺りも都市型のコミュニティ施設らしく,よく考えられている。体育館の中にはあらかじめシートが敷かれていたため,参加者は土足のまま速やかに移動することができ,5分ほどで踊りの再開を見た。

テープは持田ヨシ子盤が使用されており,太鼓は地元の小学生と中学生が交代で担当していた。踊りはお姉さんが先頭で踊っていたため,比較的よく揃っていた。

はじめは一重だった輪も,30分ほどの間に見る見るふくれあがり,最後には八重咲きの大輪のようになった。

子供盆踊り動画(4.0MB)

19時5分終了。恒例によって子供たちはその場にしゃがんでお土産を受け取っていた。お土産が花火だったのは,早い時期に開催される盆踊りならではだろう。

19:20〜20:20 北海仮装盆踊り

雨は止まなかったが,実行委員長の判断で仮装盆踊りは屋外で強行されることになった。司会者が心配して,本当に外でやるのかと何度か確認していたが,やはり盆踊りたるもの外でやるべしという主催側の意向だったようで,参加者たちも気合いを新たにしていた。

審査には副市長,市経済部長,商工会議所会頭,市議会議長,江別地区自治会連絡協議会会長の5名が当たっていた。

仮装は大人,子供混合で,定番の西遊記や花魁のほか,農家の奥さんの格好をしたチームがあったのが印象的だった。踊りは19時50分から5分間の休憩を挟み,約1時間続けられた。

唄は水越緑秀一門,太鼓は江別太鼓保存会が担当していた。唄は「北海盆唄」と「北海よされ節」の2曲で,割合としては「北海よされ節」のほうが多く唄われていた。囃子や唄い方は札幌大通の盆踊りと酷似しており,北海盆唄の歌唱法は典型的なI型であった。この日唄われた北海盆唄の主な歌詞は次のとおりである。

北海名物 数々あれど おらが国さの 盆踊り
来たは十七 蕾の頃に 今は二十一 花盛り
はやし太鼓に 手拍子揃え 櫓囲んで 盆踊り
山で暮せば 侘いもの 水にコブシも 散るばかり
燃えるハマナス 乙女の胸に 櫓太鼓に 夜が更ける
踊る手先に 夢見る瞳 星は涼しい 北斗星
阿寒大雪 支笏に洞爺 尽きぬ絵巻の 北の国
川は石狩 流れも清く 五穀豊かな 地を抱いて
山は大雪 雲間に晴れて 蝦夷の昔を 偲ばせる
若い日本の 憧れ抱いて 夢も明るい 北海道
唄え踊れよ 叩けよ太鼓 月の世界に 届くまで

北海仮装盆踊り(北海盆唄)動画(5.5MB)

北海仮装盆踊り(北海よされ節)動画(5.1MB)

20:20〜20:40 納涼花火大会

盆踊り終了後は納涼花火大会が行われた。濃い霧に包まれ音だけが威勢良く響くばかりで,観客は「ああもったいない」と悲鳴を上げていた。終盤にさしかかってようやく火が見えてきた。

20:40〜21:00 表彰式

この日の司会は,浴衣の女性が一人でずっと担当していた。少し疲れた感じのゆっくりした口調だったが,

「農家にとっては恵みの雨,我々にとっては清めの雨でございます」

「見えるのが当たり前と思っていた花火ですが,見えるとはこんなに素晴らしいことかとあらためて思いました」

というような美しい言葉の数々が,雨の盆踊りを一層印象深いものにしていた。