名寄市民納涼盆踊り大会

訪問日:2008年8月17日(日)

場所:名寄市南広場

内陸部に立地する都市としては国内最北に位置する名寄市で開催される,全市的な盆踊りである。会場は親林館の建つ南広場。実行委員会形式での開催であるが,事務局は市民文化センター内に置かれており,公共的性格の強い盆踊りである。2日間開催され,両日とも子ども盆踊りと仮装盆踊りが行われる。初日の仮装は個人,2日目の仮装は団体が表彰対象となっている。仮装の表彰対象を市民に限定しているのは珍しい。賞金には市内200社余りの企業による協賛金を充てている。

なお,全市規模で北海盆唄を踊るイベントとしては,ほかになよろのおどりがあったが,2006年をもって中止となっている。

18:30〜19:30 ちびっこあつまれ! 子ども盆踊り

やぐらを中心に同心円状に引かれた白線に沿って,大きな2重の輪を作って踊っていた。テープは持田ヨシ子盤の前奏・後奏をカットし,完全にエンドレスに編集したものが使用されていた。民踊の愛好者も率先して輪に加わっており,踊りはほぼ完璧であった。民踊愛好者いえども,子ども盆踊りの振り付けに関しては心もとないことが多いが,これほど完璧で,一つ一つの所作にまで気が行き届いていたのは稀なことである。

子ども盆踊り動画(MP4,4.6MB)

時間どおり,19時30分で終了となったが,子供たちへのお土産はなかった。子供盆踊りでお土産がないというのもめったにないことだが,これだけ見事に踊ることができれば子供たちも満足だろう。

広々とした会場には露店も出ていた。

19:30〜20:30 市民と仮装の北海盆踊り

子ども盆踊り終了後,直ちに仮装盆踊りへと移った。冒頭,司会者から仮装の参加団体名と仮装テーマの紹介があった。参加団体は8団体ということである。

仮装盆踊り動画(MP4,5.8MB)

演奏は名寄太鼓保存会源響と名寄民謡協会が担当していた。典型的なIII型の歌唱で,伴奏に尺八が加わり,歌い手によって転調を行っていた。次のとおり,ごく基本的な歌詞が唄われていた。

北海名物 数々あれど おらが国さの 盆踊り
波の花散る 津軽の海を 越えて蝦夷地へ いつ来たか
来たは十七 蕾の頃に 今は二十一 花盛り
五里も六里も 山坂越えて 逢いに来たのに 帰さりよか
はやし太鼓に 手拍子揃え 櫓囲んで 盆踊り
唄え踊れよ 叩けよ太鼓 月の世界に 届くまで
踊り揃うて 輪になる頃は 月も浮かれて 円くなる
踊り見に来て 踊りの中で 何時か手を振る 浴衣がけ
山で暮せば 侘いもの 水にコブシが 散るばかり
名寄名物 数々あれど おらが名寄の 盆踊り
揃ろた揃ろたよ 踊り手が揃ろた 笛や太鼓の 音も揃ろた
踊り踊るなら 品よく踊れ 品のよい子を 嫁にとる
唄に誘われ 太鼓に引かれ 今来たこの道 二度三度
ほか,不明瞭により聞き取り不能の歌詞3つ

会場の一角には甘酒や麦茶の無料提供コーナーが設置され,踊り手は随時水分を取ることが可能になっていた。

踊りは20時15分で終了。最後は太鼓の早打ちで締めくくられた。

踊り終了後,間髪入れず島名寄市長から閉会の言葉をいただく。引き続き,実行委員長から挨拶があった。

表彰式。努力賞2団体,熱演賞3団体,優良賞,優秀賞,最優秀賞の各賞が参加団体に贈られた。賞品はすべて現金だった。最優秀賞は7区町内会の「かわいい魚やさん」。20時25分,終了。

北の街の夏は一瞬である。実行委員長の挨拶の中に「だんだん寒くなってまいりますけれども」との言葉があったが,駅前のイルミネーションはもうクリスマスという感じであった。