第51回おびひろ盆踊り

訪問日:2009年8月16日(日)

場所:帯広市西2条通

十勝管内最大の夏祭り「おびひろ平原まつり」の中で行われる盆踊りである。主催はNCおびひろと十勝毎日新聞社である。規模は道内最大級で,現代風にアレンジされた北海盆唄に合わせて,各団体がオリジナルの振り付けによる踊りや,パフォーマンスを繰り広げる。北海道の中でも独特の文化を有する帯広であるが,盆踊りもやはり,子供盆おどり唄+北海盆唄の北海道スタンダードを踏襲しつつも,帯広独特のものとなっている。例年,8月15日,16日の2日間の日程で行われるが,訪問したのは子供盆踊りや,表彰式が行われる2日目である。

第3回子ども盆おどり 17:00〜18:00

子供盆踊りは2007年から行われており,この年で3回目だった。17時ちょうど,藤丸百貨店前に設けられた櫓で,副市長から挨拶があり,踊りが始まった。

前半約25分間は「子供盆おどり唄」によって行われた。テープは持田ヨシ子盤が,前・後奏付きのオリジナルで用いられていた。市内の各保育所が団体で参加しており,保育士さんが先導していたが,振り付けは半分も合っていなかった。何かの意図を持って改変されたわけではなく,単に本来の振り付けが失われたものと思われる。そもそも,輪の進行方向が本来と逆の時計回りとなっていた。子供盆踊りは平原まつりで行われるようになって3年目ということで,帯広の子供たちにとってあまりなじみがなかったのかもしれないが,やるからには,保育士さんたちもきちんと振り付けを勉強してもらわないと,子供たちがかわいそうだ。

子ども盆おどり(子供盆おどり唄)動画(MP4, 4.5MB)

17時25分から5分少々休み,後半は北海盆唄での子供盆踊りとなった。唄と三味線,太鼓は,帯広近郊の子供たちが担当しており,子供による生演奏の北海盆唄での,異色の子供盆踊りだった。唄われた歌詞は,次のとおりである。

北海名物 数々あれど おらが国さの 盆踊り
五里も六里も 山坂越えて 逢いに来たのに 帰さりよか
波の花散る 津軽の海を 越えて蝦夷地へ いつ来たか
主が唄えば 踊りも締まる 櫓太鼓の 音も弾む
おらが国さで 自慢のものは 一に追分 盆唄だ
そよぐ夜風に 誘いの太鼓 いつか知らずに 櫓下
踊り揃うて 輪になる頃は 月も浮かれて 円くなる
唄え踊れよ 叩けよ太鼓 月の世界に 届くまで
高い山から 谷底見れば 瓜や茄子の 花盛り
はやし太鼓に 手拍子揃え 櫓囲んで 盆踊り

ただ,生演奏といっても,大音響の電子音に合わせての唄と囃子であり,櫓上で唄っている子供たちは精一杯の声を出しても,テープの音にかき消されがちで,まったく楽しそうではなかった。櫓下では耳をふさいで踊っている子供たちもいた。踊りは,子供盆おどり唄に増してずさんで,子供たちは,ただ歩いて輪をぐるぐる回っているだけだった。多くの子供たちが参加する盆踊りであればこそ,もっと心地よく,楽しく踊ることのできる盆踊りであってほしいものである。

子ども盆おどり(北海盆唄)動画(MP4, 2.9MB)

17時50分で子供盆踊りは終了。子供たちには,保育士さんを通じて最初にピンク色のリボンが渡されており,リボンと引き換えに参加賞を受け取っていた。引き換え場所は1か所で,3列に並ぶよう指示があった。なお,保育園の子供たち以外の自由参加も可能だったが,リボンは全員に行きわたらなかったようである。

 

子供盆踊り終了後,「おびひろ盆おどり」の開始まで1時間ほど間があり,その間特にイベントはなかった。スピーカーからはずっと,持田ヨシ子盤の子供盆おどり唄が流れていた。

平原まつりは今年(2009年)で第62回,おびひろ盆おどりは第51回を数える。

盆踊りは帯広のケーブルテレビOCTVで生中継されていた。

第51回おびひろ盆おどり 19:00〜20:30

19時ちょうど,「これからのひとときゆく夏を惜しみ,来る秋の豊穣を願いながら思いっきり踊ってください」との司会者の言葉とともに,踊りが始まった。新聞報道によれば,この日の参加者は23団体と個人を合わせて約1,200人で,藤丸前に組まれた櫓を中心に,西2条通(平原通)の南7丁目から11丁目に及ぶ,時計回りの輪踊り形式で踊りが行われた。

おびひろ盆おどり動画(MP4, 4.2MB)

  

唄は北海盆唄だったが,オリジナルの振り付けや趣向を凝らしたパフォーマンスを行う団体もあり,観客を魅了していた。なお,北海盆唄本来の振り付けで踊る団体も,半数程度はあった。

 

山車も審査対象となっており,各団体とも力が入っていた。

北海盆唄は,子供盆踊りと同じ大音量の電子音をベースとした生演奏で,三味線,笛,太鼓のほか,エレキギターが加わっていた。唄われた歌詞は次のとおりで,オリジナルの歌詞もいくつかあった。しかし,大音響にかき消されて,歌詞は聞き取り難かった。演奏のアレンジは良いとして,やはり歌詞がはっきり聞き取れることを基本にしてほしい。

北海名物 数々あれど おらが国さの 盆踊り
ちゃんこ茶屋の婆 お茶出せ茶出せ 煙草盆出せ キセル出せ
波の花散る 津軽の海を 越えて蝦夷地へ いつ来たか
来たは十七 蕾の頃に 今は二十一 花盛り
五里も六里も 山坂越えて 逢いに来たのに 帰さりよか
踊り揃うて 輪になる頃は 月も浮かれて 円くなる
おらが国さで 自慢のものは 一に追分 盆唄だ
盆が来たのに 踊らぬ者は 木仏金仏 石仏
主が唄えば 踊りも締まる 櫓太鼓の 音弾む
唄え踊れよ 叩けよ太鼓 月の世界に 届くまで
月はまんまるだよ 踊りもまるい 主と私も まるい仲
わたしゃ○○○○ 十勝の○○○ 広い豊かな ○○○○○
春の訪れ ○○○○○○○ ○○○○○○○ ○○○○○
十勝平野は 豊かに広がる 豆も花咲く 晴れ姿
帯広よいとこ 一度はござれ 揃い浴衣で 盆踊り
はやし太鼓は 男の心 女心は 笛の音
そよく夜風に 誘いの太鼓 いつか手を振る 浴衣がけ
○○○○○○○ 十勝の平野 櫓太鼓の 夜が更ける
一度来やんせ 蝦夷地の夏は 暑さ知らずの 盆踊り
駒もいななく 十勝の平野 ○○○○○○○ ○○○○○
来たよ来た来た 平原まつり ○○○○○○○ 賑やかに
踊る手拍子 揃いの浴衣 北の盆唄 夏まつり
十勝平野に 豊かに実る 豆も花咲く 晴れ姿
月も明るく 山道越えて ここは帯広 ○○○○○
盆が来た来た ○○○○○○○ 盆が過ぎれば 秋が来る
○○○○○から 知られた町は 十勝平野の ど真ん中
踊り疲れて 踊りの中だ 抜けてたたずむ ○○○○○
踊り踊る娘が 何故足袋履かぬ 履けば汚れる 褄切らす
そよぐ夜風に 小粋な浴衣 帯広名物 盆踊り
唄に誘われ 太鼓に引かれ 今来たこの道 二度三度
船は出てゆく 南へ北へ 今日も大漁で 陽が昇る
一度見せたい 故郷の村に 帯広名物 盆踊り
私ゃ畑の 手のないささげ 誰にからまる あてもない

8月18日には,衆議院選挙の告示が控えており,輪の中には選挙に臨む2人の現職議員の姿もあった。そのうち,この一月半後に亡くなる中川議員の姿は,印象に残るものだった。

終盤になって雨が降り出し,予定より若干早く,20時25分に終了した。最後は,帯広市議会議長の万歳三唱の音頭により締めくくられた。

 

引き続き,表彰式が行われた。冒頭,長年にわたり審査委員長を務め,今回で勇退する杉浦壽氏に感謝状が贈られた。団体と山車の部で帯広信用金庫が2冠を得ていた。

熱気に包まれた盆踊りだったが,気温は15℃。十勝の秋はもうすぐだ。