昭和・北海道地図資料館

ライオンロードアトラス 全日本道路地図

昭和46年 日本地学

2006年4月,札幌游書館にて3000円で購入。北海道は縮尺1/600000,その他の地域は1/420000で,B5版見開き65面に全国の道路地図がコンパクトにまとめられている。その他,札幌,仙台,名古屋,京都,大阪,福岡の都市市街図,付録として国道一覧表,有料道路料金一覧表,フェリー・ボート一覧表がついている。


別海付近1/600000
別海村はこの年(昭和46年),町制を施行している。古くは地図に別海と記されている海沿いの集落に役場が置かれたが,開拓の進展とともに内陸部の居住者が増え,昭和8年に国鉄標津線が開通すると,翌9年には役場が西別に移された。昭和51年には西別駅が別海駅に改称され,旧来の別海集落は現在「本別海」と呼ばれている。

国道は薄い赤が砂利道を,濃い赤が舗装を示している。この地方ではまだまだ舗装道路が珍しかった。厚床〜奥行臼間に「黒百合国道」の文字が見える。菊田一夫作詞,古関裕而作曲で織井茂子が歌った「黒百合の歌」は映画「君の名は」の主題歌で,映画に登場するアイヌの少女をテーマにした歌である。ロケ地となったのは美幌の末永牧場で,根室と美幌を結ぶ国道241号に黒百合の名前が付けられたのはこのためなのかどうかはわからないが,現在では黒百合国道にかわって「パイロット国道」と呼ばれている。

国鉄根室本線は厚床で根室支庁に入った後,もう一度釧路支庁を経て初田牛の手前で根室支庁に入り直しているが,この部分は昭和38年8月,浜中村が町制を施行した際に根室市と境界を変更しており,この地図が出版された時点では,厚床から先の根室本線の東側はすべて根室市域になっていたはずである。


天塩岳付近1/600000
道内の国道は昭和28年に227号から244号が指定された後,長らく追加されることなく,昭和45年4月1日に至って272号から280号が追加された。帯広と紋別を結ぶ国道273号も前年に指定されたばかりで,241号,39号との重複区間を除いては全線未舗装である。北見峠は昭和35年に現在の石北峠に国道の座を譲り,この時期は道道となっていたが,昭和50年4月,国道333号として再び国道に指定される。国鉄石北本線の上越駅はこの当時は駅だったが,昭和50年には信号場となる。

天塩川上流に「岩尾内ダム建設中」の文字が見える。岩尾内ダムは発電,洪水調節,新規造田などを目的とした多目的ダムで,昭和38年着工,同45年に竣工し,翌46年に岩尾内湖が誕生している。地図にある似峡(にさま)市街地は朝日町第二の市街地として繁栄し,戦後は昭和34年に愛別方面の道路が開通,同37年には滝上にも通じるようになり,食堂,旅館,映画館などが次々と建設されたが,岩尾内湖により市街地が水没,966人の住民が移転した。

積丹半島1/600000
当丸峠が国道229号に指定されていた頃。昭和57年に海岸線を通るルートに変更され(全通は1996年),当丸峠は道道に格下げされている。
登別温泉1/600000
新登別温泉は昭和30年代後半以降に開発された温泉分譲地。現在は数軒の温泉旅館が建っている。登別駅近くの臨海温泉はフンベ温泉のことだろうか。あるいは虎杖浜温泉もかつては臨海温泉と呼ばれていたので,この位置を誤ったものであろうか。


千歳付近1/600000
翌年の札幌冬季五輪開催に向けて,地下鉄や高速道路の建設,スキー場の造成が急ピッチで行われていた頃。札幌と支笏湖を結ぶ道道や支笏湖畔の有料道路もオリンピックを契機として建設されたものである。道央自動車道の北広島IC〜千歳ICもオリンピックに間に合わせるために,この年12月4日に暫定2車線で開通し,翌年秋に4車線化されている。定山渓鉄道はまだ地図に残っているが,跡地に地下鉄を建設するため昭和44年11月に既に廃止されている。

地図では広島村となっているが,昭和43年に既に広島町となっている。昭和45年の人口9746人。同年から計画人口33000人という道営北広島団地の建設が始まり,札幌のベッドタウンとして急速に成長した。

千歳市と長沼町の間の狩振国境付近に湖が見える。これは長都沼という面積3.9平方kmの沼で,付近は長都原野と呼ばれる洪水常襲地帯だった。昭和26年から同44年にかけて国営灌漑排水事業が実施され,現在は耕地に変わっている。植苗駅西側の白鳥湖温泉も今はない。

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