北海観光節旅行記秋の湯殿山・尾瀬

23. 白砂峠

長蔵小屋を発つと間もなく広大な湿原が目に入る。大江湿原といい,もともと尾瀬沼の大きな入り江であったのが,湿原化したものだという。

バスの便がある沼山峠から,歩いて1時間足らずで来ることができるため,尾瀬を代表する名所となっている。

今回,初めての尾瀬で,木道の混雑具合がわからなかったため,予定が立てにくかったのだが,最も混雑していると思われる大江湿原でも,木道上で人が渋滞するようなことはなかった。木道は原則右側通行だが,一時的に左側に移って追い越すことは可能なので,自分のペースで歩くことができた。

大江湿原分岐

ただいま11時42分。ここから沼山峠を越えて,旧沼田街道で七入まで歩く予定だが,帰りのバスは七入発16時54分なので,順調にいくと3時間くらい時間が余りそうである。

こうなると欲が出て,やっぱり尾瀬ヶ原も見たくなってしまい,木道をまっすぐ進むべきところ,思いがけず左折してしまった。

尾瀬沼北岸の道に入り,振り返って大江湿原方面を見る。3本のカラマツが生えた盛り上がりは尾瀬塚といい,一説に尾瀬の名の由来とされる尾瀬中納言の廟所だといわれている。

 

鹿よけの柵を通過。

浅湖湿原

 

林を抜けだし,再び明るい湿原に出た。浅湖(あざみ)湿原という。

続いて大入洲半島を横断する。燧ケ岳の溶岩流の跡だという。

沼尻平

沼尻平の十字路。12時を過ぎ,木道に腰を下ろして弁当を食べる人たちの姿が多く見られた。

尾瀬沼南岸への道は立ち入り禁止のロープが張られ,ここにあるはずの沼尻休憩所が消えていた。炭のようになった木からは煙が上がっている。

あとで知ったことではあるが,沼尻休憩所は昨日火災で全焼したとのことである。

白砂湿原

 

白砂田代とも呼ばれる。田代というのは水田のように見える場所という意味で,湿原を指す古来の言葉である。右の写真は池塘(ちとう)である。湖水が湿原化する過程で,何らかの原因で泥炭層ができずに取り残されたもので,尾瀬には大小300ほどの池塘があるという。

白砂湿原を過ぎると,いきなり岩道となった。

白砂峠

12時30分,白砂峠を通過。尾瀬沼と尾瀬ヶ原の二大エリアをつなぐ唯一の道であるが,意外と歩く人は少なかった。

マイカーで尾瀬を訪ねるのが当たり前の時代にあっては,尾瀬横断は稀なことなのかもしれない。

一方で,鉄道マニア風の尾瀬には似つかわしくない身なりの男と何人かすれ違った。奥只見ダムで船を乗り継いで御池にアクセスするという,マニア向けの尾瀬へのアプローチがあるが,案外鉄道マニアに尾瀬の横断コースが利用されているのだろうか。

イヨドマリ沢。漢字で書くと魚止り沢で,魚の遡れない急な沢という意味のようだ。

見晴

13時06分,尾瀬ヶ原の東端にある見晴に到着。

見晴は尾瀬の中でも,最も多くの山小屋が集まっている場所である。合わせると,何と宿泊客を900名近く収容できるという。

第2長蔵小屋 原の小屋 原の小屋cafe
桧枝岐小屋 尾瀬小屋 弥四郎小屋

自動車の通じる鳩待峠と沼山峠のほぼ中間に位置し,どちらからも歩いて2時間以上を要するが,食事のメニューやお土産は充実していた。

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