北海道駅前観光案内所

汽車旅党への第一歩

●迷ったら旅に出よ

列車で行くにしても車で行くにしても,旅行したいという気持ちにならなければ旅行は始まりません。世の中には時間さえあればどこかに行きたくなってしまう人もいれば,いくら時間とお金があっても出かけたくならない人もいると思います。旅行好きな人と,出不精な人,何が違うのかといえば,出かけようかどうか迷ったときに出かけるか出かけないかの違いだと思います。日常の仕事などでは迷ったとき踏みとどまったほうが賢明な場合もあるでしょう。しかしわたしの経験からいうと,旅行に関しては行こうかどうか迷って,行って後悔したということはありません。行けば必ず何か発見があります。ですから,少しでも旅行に行ってみようかなあと思ったら,迷うことなく,すぐに出かけてください。

●遠回りすること

目的地があったとして,そこまで最短・最速の手段で行かなければ気がすまないという人がいます。これはいけません。出張旅行であればたしかにそうかもしれません。しかし観光旅行であれば,目的地まで最短コースを取らなければならないという決まりはどこにもないのです。そもそも目的地を一つに絞った「目的地型」観光よりも,途中下車しながらいろいろ見てまわる「周遊型」観光のほうが楽しいと,わたしは思います。遠回りしていろんな駅で乗り降りして汽車旅を楽しみましょう。仮に目的地が一つだったとしても,行きと帰りは別のルートを通って車窓の変化を楽しみましょう。

●鈍行に乗ること

特急列車が走っている路線であえて鈍行(普通列車)に乗るなど気違いじみた人間のやることだと思われているかもしれません。そう言う人は汽車に乗っている時間を苦痛に感じているのでしょう。しかしそんな考えでは汽車旅を楽しむことはできません。できるだけゆっくりと,車窓の移り変わりや各駅の表情を見ながら移動するのが汽車旅の醍醐味であり,それには鈍行列車が最適なのです。お金がなくてやむなく鈍行に乗っているという人も多いでしょうが,特急列車より高いお金を払ってでも鈍行に乗りたいという気持ちになれれば,あなたはもう立派な汽車旅党です。

●乗り換えをめんどくさがらないこと

汽車旅が敬遠される大きな原因の一つに「乗り換え」があります。たしかに国鉄時代に比べて長距離を走る列車が少なくなり,目的地にいたるまで何度も乗換えをしなければならないケースが増えました。しかし,足腰の弱ったお年寄りならともかく,健康な人ならそんなに苦に思うこともないのではないでしょうか。次の列車にうまく乗り継げるか不安に思うのでしょうが,心配することはありません。時刻表できちんと調べておけば大丈夫です。列車が遅れても次の列車はきちんと待っていてくれます。JRの素晴らしいところは列車がダイヤどおりに運行されることとともに,接続がきちんと取られることだと私は思っています。乗換えで数分でも外に出ることができれば体もリフレッシュできます。乗り換えが楽しみになれば,あなたはもう立派な汽車旅党です。

●歩くこと

一度車の味を占めてしまうと,ほんとに歩かなくなりますね。人間は歩いていれさえおれば健康が保てるのに。歩くことを嫌がっていたら汽車旅は楽しめません。駅前に見どころがあるとは限らないからです。温泉だって駅前に都合良く沸くはずがありません。それなりに歩かなければならないのです。バスやタクシー,レンタカー,貸自転車という手段もありますが,基本は徒歩です。少なくとも片道2km,往復4kmくらいは歩く覚悟をしてください。そのくらい歩いたほうが体にもいいですよ。当サイトの各駅紹介でも駅からおおむね2kmの範囲にある見どころを紹介しています。

●進んで戻ってまた進むこと

ゴールに向かってつねに前進あるのみ,すごろくみたいに途中で戻るなんて無駄なことだと考えている人がほとんどでしょう。しかし汽車旅を楽しむならこの常識は打破してもらわなければなりません。ここがマイカー旅行にはない汽車旅特有の考え方です。列車の本数の少ない路線で途中下車の旅をする場合,次の列車まで何時間も待たされることがあります。そのときもし逆方向の列車があれば,通り過ぎた駅にいったん引き返して,そこで次の列車を待つことも可能です。これによって同じ時間で下車できる駅が1つから2つに増え,それだけいろいろなところを見ることができるのです。

●時刻表を買うこと

汽車旅をするなら時刻表はお金を惜しまずに買ってください。切符代に比べたら時刻表なんて安いものです。駅で配っているポケット時刻表ではだめです。あれには観光客向けの臨時列車や時刻の変更が載っていません。北海道では時刻表なしで気の向くままに途中下車を楽しむなんて無理です。下手したら遭難します。必ず時刻表を買って,次の列車の時刻を確かめてから列車を下車するなり乗るなりしてください。

●フリーきっぷを使うこと

上に書いた「遠回りをすること」「進んで戻ってまた進むこと」がなぜ可能なのかといえば,ある金額を払えば乗り放題という便利な切符があるからです。例えば北海道の特急・急行・普通列車が7日間乗り放題の「北海道フリーきっぷ」,道央周辺普通列車乗り放題の「一日散歩きっぷ」,全国のJR線普通列車乗り放題の「青春18きっぷ」などがあります。青春18きっぷを使えば釧路から函館まで2300円で移動することも可能です。恐らくガソリン代よりも安いでしょう。列車の旅は高いというイメージを改めなければなりません。

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