北海観光節旅行記秋の湯殿山・尾瀬

3. 四ヶ村の棚田

新庄駅に到着。本日の宿は,肘折温泉に取っている。宿には18時までに入らなければならないので,新庄駅14時10分発のバスに乗る必要がある。列車は新庄駅14時09分着だから,乗り換え時間は1分しかなく,これは常識的に考えて乗換を想定していない時刻設定である。

したがって,乗り換えができなかった場合はタクシーで追いかけることを前提に計画を立てた。

新庄駅前14:10発→日陰14:49着 山交バス 肘折待合所行き

結果としては,余裕でバスに間に合った。列車は鳴子温泉発車時点で接続列車待ちのため3分程度遅れて発車したが,新庄駅にはほぼ定刻で到着した。列車のホームからバス乗り場へは走って1分足らずで,バスは1分遅れの14時11分にやってきたので,十分に余裕があったわけである。

バスはしばらく国道47号線を走り,本合海で国道458号線に入った。

一旦国道を外れて大蔵村の市街地を通過した。ここから最上川と別れ,山間に入る。

美しい農村風景が続く。

風景は徐々に閑散としていくが,突然現れたこけしが,この先に何かがあることを暗示してくれる。

日陰バス停で下車。宿の入り時刻まで3時間余りあるので,ここから四ヶ村の棚田と地蔵倉を経由して歩いて向かおうと思う。

実は,時間的にかなり厳しく,地蔵倉が日没にかかるので,計画はしたものの断念しかけていたのだが,今日,車窓の折々に見た田園風景の美しさに,棚田を見ない手はないと思って,意を決したのである。

「←ふるさと味来館」の案内板が出ており,道は間違いない。

車道を短絡する階段があった。100メートル足らずの短縮であるが,徒歩の旅でこういう近道が見つかるのは嬉しい。

ただ,道はだんだんと怪しくなり,よっぽど引き返そうかと思ったが,何とか上の車道に出ることができた。

続いてトンネルを通る。たまたまなのか,立て続けに6台の自動車が通り抜けていき,ぞっとした。

トンネルを抜けると,のどかな山村に出た。

 

案内図によると棚田はまだ先だが,このあたりでも十分にきれいだ。大蔵村は「日本で最も美しい村連合」に発足当初から加盟している7自治体の1つである。

沼ノ台付近。「四ヶ村の棚田」の四ヶ村(しかむら)とは,豊牧,滝の沢,沼の台,平林の4地区を指すようだ。

豊牧の集落に至り,「四ヶ村の棚田→1km」の案内板に出くわした。

あらかじめ,「四ヶ村の棚田ご案内map」をインターネットから入手しておいたのだが,図案化のため歪曲が著しく,場所の同定が困難を極めた。こういう役立たずの観光地図はやめてもらいたい。

とりあえず,現地の案内板にしたがって,細い道を進む。

美しい風景が続く。

天空に延びるような小道を,お母さんと3人の子供たちが歩いていた。何とも贅沢な散歩道だ。

近くには,地すべり対策として掘削された豊牧排水トンネルと,付属する広場があった。一応このあたりを「四ヶ村の棚田」として観光スポットにしているのだろうか。

それで,一旦引き返しかけたのだが,まだ看板から1kmも歩いていない気がするし,排水トンネルの先で陰になっている部分に何かあるかもしれないので,もう少しだけ先に進んでみることにした。

小道のカーブを曲がると,それまで見えなかった部分に見事な棚田が広がっていた。

 

棚田の中を上っていくと,見晴らし台があった。

さらに上っていくと,ため池が点在しており,水路が巧妙に張り巡らされていた。これらの水利施設や棚田の畔は整然と区画されており,近年の土木工事によって造成されたものと思われるが,昔はどんな風景が広がっていたのか気になる。

四ヶ村の棚田は農林水産省による「日本の棚田百選」に選定されている。毎年8月第1土曜日には,「ほたる火コンサート」が開催されているという。

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