富良野線

美馬牛 びばうし 無人駅
美瑛町字美馬牛
大正15年9月10日開業
標高284m  130人
2線(対向式)
旭川より30.6キロ
美瑛より6.8キロ
2000.7.9下車

●美瑛→美馬牛の車窓

美瑛から先は列車の本数が半減し,山の中を走る。かつては旭川から上富良野にかけて乗客は降りる一方で,美瑛から先は車内も空いていたが,最近の観光ブームによって,美瑛から下り列車に乗り込む乗客も多くなり,車内は相変わらず賑やかだ。
車窓は両側を防雪林で囲まれ,残念ながら「美瑛の丘」を楽しむことはできない。それでも目ざとい乗客は林の中に山菜を見つけて喜んだりする。富良野・美瑛ノロッコ号は美瑛−美馬牛間で時速30km/hの徐行運転を行うが,これはこの区間が特別景色が良いというわけではなく,ダイヤの関係上ここでスピードを落さざるを得ないのだろう。
美馬牛までの間に28.6‰という道内のJR線で最も厳しい坂がある。また,28.6‰で下って,25‰でまた上るというジェットコースターのような坂道もあり,これは列車に乗っていてもはっきりわかる。今でこそ列車は難なく坂を登るが,昭和62年に強馬力のキハ54形気動車が投入されるまでは,積雪時に列車が坂を登れなくなることもしばしばで,美瑛までいったん引き返して助走をつけて再挑戦したという。
美馬牛は富良野線で最も標高の高いところにある山間の小駅である。

●美馬牛駅

もともとは美瑛や旭川に通う高校生が利用するだけの地味な駅だったが,近年では駅裏にユースホステルが建つなどして,旅の人も多く利用するようになった。近くの美馬牛小学校は教会風の校舎が絵になり,観光バスも立ち寄る名所になっている。
どこかの宿のサービスだと思うが,旅人と宿主との感動的な別れの風景が時折見られる。列車に乗り込んだ旅人は,列車が発車すると,別れを惜しむように後ろのほうに走っていき,見送る人に手を振る。見送る人も,列車から離れないようにホームの端まで全力で走って手を振り続ける。顔が見えなくなったところで旅人は列車の最後部で両手をつき,しばし顔をうつむける。
駅前の商店街も観光客が来るおかげで,この規模の集落にしては華やかだ。美馬牛はアイヌ語のピパウシ(カラス貝の多くいるところ)に由来し,北海道各地に見られる地名である。きれいな当て字のため,この地名が好きな人も多い。しかし,過疎化は激しいようで,美馬牛小学校も複式学級を採用しているという。
今も駅舎は地元の人によって掃除されてきれいに使われているが,昭和42年には「花いっぱい優良駅」として表彰を受けている。駅舎は2000年6月に改装され,メルヘン調の外観となった。内部には特に何もないが,無人駅にしては珍しく,30秒おきに分針がカチッと動く,国鉄仕様の時計がある。

●見どころ

以下のような定番の見どころがあるが,このあたりは適当に歩けばよい景色が見られる。自分だけの絶景を探してみるのも楽しい。駅前「びばうしガイドの山小屋」にレンタサイクルあり。

□美馬牛小学校

駅前を右折,線路を渡り直進500m。徒歩10分。教会風の校舎で,パノラマロードにアクセントを添えている。学校の敷地には授業の邪魔にならないように見学コースが設けられている。(H11.6通過)

□菅野ファーム(上富良野五大名所)

駅から徒歩15分。駅から正面方向に進んで国道237号に出て,信号左折。ラベンダーやポヒーが咲き乱れ,テレビや新聞にもよく登場する。丘の上の東屋への散策が楽しい。(H1訪問)

□拓真館

駅から6km。故前田真三氏が昭和62年に開設。旧千代田小学校。素人が見てもやっぱりプロが撮った写真は一味違うと実感させられる。(H11.6入館)

900-1700(11-4は1000-1600) 無休 無料

□四季の交流館

拓真館の向かいにあり,農産物直販店がある。(H10.5入館)

5-10は900-1700,11-4は1000-1600 無料

□千代田公園

拓真館から幅1mほどの白樺並木の散策路が続いており,気持ちいい。(H11.6訪問)

美瑛 北海道駅前観光案内所 上富良野